「異常気象」徹底究明、ちょっと待った(その3)
続いて、竹田恒泰氏の発言から
「偏西風の蛇行が大きくなるのと極端(気象)になるのと、
(地球)温暖化は関係ない。
しかも温暖化なんか(たった)100年で0.7℃でしょ。」
私は竹田氏が嫌いではないので、あまり言いたくはないが、
偏西風蛇行の原因を理解していないようだ。
偏西風の蛇行が大きくなったり、頻繁になったりする理由は
地球温暖化で説明できる。
この仕組みについても、このブログの別記事「地球温暖化考」
https://soranbe.air-nifty.com/blog/2017/12/index.html
に書いているので、ご参照願いたい。
このことからもわかるとおり、地球温暖化とは、
地球全体の気温が一様に上がるという意味ではない。
局地的高温も低温も増えることになるが、
全体の“平均”が上がることになり、
そのことが「地球温暖化」と表現されている。
また、竹田氏は、0.7℃を小さいものと評価しているが、
地球全体の気温を
平均で0.7℃上げるエネルギー量がどれほど大きいものか
考えていないのだろうか。
気象庁の「気温の平年並みの範囲(平年並みの上限と下限の差)」
を見てみると、
例えば夏(6~8月)の場合、最も幅の広い北日本でも
丁度0.7℃しかない。
3か月の平均気温が、
平年並みの上限より高ければ暑夏、
下限より低ければ冷夏と呼ばれることになるが、
平均で0.7℃とは、
暑夏と冷夏の差ほど大きな差なのである。
いってみれば、現在の平年並みの範囲は、
100年前の暑夏の範囲にすっぽり入っているのである。
百歩譲って、0.7℃が小さい温度差だとしても、
この0.7℃の間に、何らかの閾値が入っていたら大きな変化が起こる。
例えば、水にとって、
20.0℃と20.7℃の差は小さくても、
-0.3℃と0.4℃の差は大きい。
言うまでもなかろうが、水と氷の相転移が起こるからだ。
例えば、この0.7℃の間に
動植物や細菌等の死滅の限界温度が入っていれば、
今は熱帯地方でしか生きられない細菌や害虫などが、
日本など、より低緯度で生存できるようになるかも知れない。
0.7℃は小さい値だから問題ない、とはいえないだろう。
0.7℃の上昇は、過去100年での上昇幅だが、
この上昇が、もしもう100続けば1.4℃の上昇となる。
千歩譲って0.7℃が小さい温度差だとしても、
このペースの上昇がいつまで続いて、
結果として何度上昇して、
その影響で何が起こるかが問題なのであり、
0.7℃という数字は深い意味を持たない。
地球温暖化(というより気候変動)は、
自然環境や、人間の生活環境に
(細菌の例のように)大きな影響を与える可能性があるのだが、
0.7℃の上昇が大きいか小さいかではなく、
それによって
何が起こるのか、起こらないかの研究が重要だろう。
そして、もはや研究で済む時期は過ぎており、
対策が必要なのではないか、と私は思うのである。
(つづく)
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