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2018年7月の記事

2018年7月23日 (月)

特別警報、避難指示等、防災ソフトに想う

1か月も間隔が空いてしまった。
西日本を中心に起こってしまった大水害に際して、
感じたことをとりとめもなく書いてみたい。


まずは、犠牲となってしまった方々に哀悼の意を表し、
被災された皆様にお見舞い申し上げ、
復旧、復興に携わられている方々皆様に
敬意を表します。


ちょっと寄り道。
数年前の話だが、
とある報道機関のトップの立場にある方が、
とある全国放送のラジオコメンテーターとして、
「50年に1回の特別警報が年に3回も出るのは基準がおかしい」
と言っていた。
いや、これは全くおかかしくない。
当時、特別警報の区割りは全国50数区域で、
かつ、大雨、暴風など、事実上5種類の特別警報がある。
単純計算でも、
全国で年間5回程度発表される頻度となる。
単純計算とは、
サイコロの出た目が次の出目に影響しないような、
「事象が独立している場合」という意味。
気象現象の場合、
どこかで特別警報が出るような状況ならば、
周囲も似た状況である可能性が高く、
同時に数か所で特別警報が出てもおかしくない

この意味でも、年に3回発表されたところで、
何もおかしくはない。
報道トップでもこのような誤解をしているのだから、
一般市民においておや、である。

現在では、特別警報は市町村別に発表できるようになり、
「府県程度の広がりをもつ」という条件が事実上なくなり、
当然発表回数はもっと増えることになる。


さて、今回の広範な豪雨に伴い、
複数の府県に特別警報が発表された。
特別警報が発表されるときは、
50年に1度程度のかなり異常な状況であり、
直ちに命を守る行動に出なくてはならない
しかし、特別警報が出ていないからといって安心ではない
警報が出る段階で、重大な災害が起こる可能性はあるのだ。
なぜなら、そもそも警報とは、
重大な災害が発生する恐れがある旨を
警告するために発表するもの
だからだ。
国民の何%がこの意味を知っているだろうか。


ところで、特別警報が出た時に、
或いは避難勧告、避難指示が出た時に
どうしたらいいかわからない
、という声をよく聞く

誠に残念な話だが、
こういった人が減らないと、
どんなに防災のハードやソフトが整備されても
気象災害による命の犠牲は減らないだろう。

現実問題、取るべき行動は個別に、
また、状況によって異なるから難しい。
特別警報が出たからといって、
後述するように、当該地域にいる人全てが
何らかの行動をとらなくてはいけないわけではない。

個人の防災行動には準備が必要である。
よく「避難場所を確認しておけ」といわれる。
もちろん確認して覚えておくことは必要だが、
その避難場所は唯一絶対ではない
地震には強いが洪水には弱い避難施設があったり、
洪水(浸水)の心配はないが、
土砂災害の恐れがある施設もあるだろう。

災害の種類によっても避難場所は異なる
し、
元気な人や、体が不自由な人や病人など、
その人の状況によっても異なる
だろう。
避難経路も一通りではない
し、
状況によっては使えない道もあるだろう。
自宅内で上の階に避難、ということもあり得る


また、同じ人でも、自宅、会社、出かけ先等、
居場所によっても当然避難先は異なってくる
災害時の夜の外の移動は危険も多い。
時と場合によって正解は変わってしまう
のだ。

例えば、場所に関して言えば、
だだっ広い平野部で、傾斜地がないような場所では
土砂災害は起きようがなく、
当然、その種の特別警報がでても避難する必要はない。
しかし、平野部であっても、河川が近くにあれば、
浸水等の災害の恐れがあり、
その種の特別警報、いや警報が発表された段階で
避難を検討する必要がある。
前もって、
自宅などが、どの種の災害に対して危険なのか
その危険度はどの程度なのか
事前に
調べておくことが肝要
なのだ。

このように、場所、個人の状況、家族構成等々により、
適切な避難場所、避難のタイミングなどは異なる。

だから、誰かの指示を待つのではなく
自分で
調べ、考え、備え、判断し、行動しなくてはならない。
個別に異なることは誰も教えてはくれないのだ。

どんなに本や、インターネットや、セミナー等で学んでも、
それらは一般論に過ぎず、
個別の事情など考慮されているはずがない。

避難指示が出るのが遅かったとか、
まだ特別警報が出ていなかった、
ダムの管理がおかしいなど、
他人(ひと)に責任を押し付けるような人
や、
他人発信の情報を待っているような人
犠牲になりやすい
公的機関などからの情報を漫然と待つのではなく、
自ら
危険に晒されない範囲で情報を集め
状況に応じた判断をし、行動をすべきである。

これも一種の“ソフト”に入るかも知れないが、
こういった市民の意識改革や、そのための啓蒙も、
防災ハード、ソフトの整備に加えなくてはならないと思う。

避難場所を教えて、では困る

その日その時によって正解は異なるのだから。
自分で(特に自宅や会社からの)
避難場所や経路を予め調べ、
いろいろなケースを想定して必要な準備をしておく。
そして、不幸にして被災しそうになったら、
或いは被災してしまったら、
自ら考え、判断し、行動しなくてはならない。
そして、判断を誤らないように
必要最小限の知識を普段から身に着けるよう
努力する人こそが自分や他人の身を守れることだろう。

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