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2018年3月の記事

2018年3月29日 (木)

さくらの開花

各地からさくらの開花の便りが届いている。

さくらの開花は、
気象庁の「生物季節観測」の観測項目のひとつで、
一部地域を除いてソメイヨシノの標本木で観測される。

ソメイヨシノは人工的な接木でしか増やせないため、
全ての木が同じ遺伝子なので、
比較観測にはもってこいなのだ。

標本木を決めていつも同じ木で観測するのも、
経年の比較のために条件を変えたくないから。
桜の開花に限らず、
気象観測には質や方法の均一性と、
観測環境の継続性が大切だ。


ところで、
枝より早めに幹から直接咲く「胴吹き」を
開花にカウントしている気象官署と、
カウントしていない官署があるらしい。

観測の品質を良くするためにも
「胴吹き」の扱いはルールを統一すべきだろう。
「胴吹き」は老木に多いらしいので、
これが起こった標本木はお役御免にして、
新しい標本木に切り替えてはどうだろうか。

まあ、お役所で予算もあるだろうから、
簡単ではないだろうけれど。
あっ、気象台って国のお役所なんですよ。
ですから、さくらの開花は、
国民の税金によって観測され、
観測成果が発表されているんです。


生物季節観測には、他に、
ウメタンポポ等の開花
イチョウカエデ等の紅葉
ヒバリウグイスモンシロチョウ等の
初鳴き初見などの種目がある。
季節の遅れ進みや、
気候の違いなどを知るために行われている。

なお、「○○の初鳴きを宣言」などは
誰が聞いてもおかしな表現であり、
開花も、「宣言」ではなく「発表」が正しい
「宣言」という表現はなかなか減らないが、
注意深く聞いていると、
「宣言」を使わないように
気を付けているアナウンサーさんもいるようだ。


秋田にも桜前線が近づきつつある。
暖かい日が続いているので、
思いの外早く咲くかも知れない。

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2018年3月 7日 (水)

高気圧と気団のはなし(その2)

<2>オホーツク海気団
オホーツク海気団は、
オホーツク海高気圧のもととなる
海洋性の気団で、
冷たいオホーツク海で発生発達する。

オホーツク海高気圧は、
ごく下層では冷たく湿っているが、
その上の方では周囲より暖かい、
ちょっと奇妙な背の高い高気圧だ。

上空のブロッキング高気圧と相まって
発生
することが多い。

冷たく湿った北東気流
(いわゆる“やませ”)のもととなり、
北日本、東日本の太平洋側に
冷害をもたらすことがある
移動が遅く、長期間影響する。


<3>シベリア気団
シベリア気団は、
シベリア高気圧のもととなる
大陸性の気団で、
冬季に高緯度の大陸で発生発達する。

シベリア高気圧は、
非常に冷たく乾いており、
対流圏下層のみの背の低い高気圧である。
背の低さは、
これまた“層厚”(専門用語失礼)の
考え方で説明できるが、
詳細は省略する。

冬季には、この高気圧から
北西の季節風が日本海に吹き出し、
海上で、冬型の気圧配置に特有の筋状の雲を作る。


<4>長江気団(旧・揚子江気団)
長江気団は、
千切れて移動性高気圧のもととなる
大陸性の気団で、
暖かく乾いており、
比較的暖かいアジア大陸で発生発達する。

移動性高気圧は、
春、秋には日本付近を通過することが多いため、
春、秋の主役である。
ある程度暖かく、
乾いた高気圧なので、
勢力圏内では爽やかな晴れが多い

低気圧と交互に来ることが多く、
また、太平洋高気圧などに比べて
サイズが小さく、移動することから、
勢力圏に入るのは2~3日のことが多い。

高気圧の中心が過ぎると
低気圧が接近してくるため
天気は下り坂となることが多い。


<5(おまけ)赤道気団
これは、前述の4つとは少し異質だ。
日本に影響するときは、
高気圧としてではなく、
台風(熱帯低気圧)としてやってくる
非常に暖かく、非常に湿った海洋性の気団だ。



前線は、
これら性質の違った気団の間に発生し、
熱帯低気圧は別にして、
基本的に、温帯低気圧は、
この前線上に発生、発達する。
その意味では、
天気を語るには、
いわゆる悪天のもととなる低気圧ではなくて、
前線発生の原因となる
気団(高気圧)から始めるべきかも知れない。

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2018年3月 6日 (火)

高気圧と気団のはなし(その1)

日本付近には、
おおまかにいって4つの気団がある。
気団とは、言わば同じ性質の空気の大きな塊だ。

気団が発生するには、
ある程度(差し渡し1000km程度以上)の
広さをもつ地域に、
ある程度(1週間程度以上)の
期間空気が滞留する必要があり、
どこにでも発生できるわけではない。

では、日本に影響を与える気団を
順に説明していこう。


<1>小笠原気団
小笠原気団は、
太平洋高気圧のもととなる海洋性の気団で、
暖かい北太平洋上の
北緯30度付近を中心に発生発達する。

太平洋高気圧は、
亜熱帯高気圧(subtropical high)の一種であるため
予報現場ではサブハイと呼ばれている。

太平洋高気圧は、
暖かくて湿った背の高い高気圧だ。
背が高いとは、
上空の高い高度に至るまで
周囲より気圧が高いということ。
この理由は、“層厚”(専門用語失礼)の
考え方で説明できるが、
詳細は省略する。

太平洋高気圧の圏内は
いわゆる好天となりやすいが、
縁辺流(日本付近では概ね南西の暖湿気流)は
梅雨前線を刺激(水蒸気を補給)するなどして
大雨をもたらすこともある。
また、台風は縁辺を回る進路をとることが多い。

太平洋高気圧の勢力が増し、
梅雨前線を東北地方以北に押し上げたり、
消滅させたりすると
全国的に梅雨明けとなる。

(つづく)

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