地球温暖化考(その3)
私は地球温暖化は進んでいると思っているが、
いや進んでいない、或いは逆に寒冷化している、
と主張している人たちもいる。
寒冷化を主張する人たちの説明を聞いていると、
ここ10年くらいの気温の変化が上昇傾向にないとか、
太陽黒点の数が少なく、
過去の寒かった時代に似ている、
というものが多い。
しかし、これらの論法には大きな欠陥がある。
高々ここ10年の状況を見ても、
それがこの先100年の傾向と同じである理由が
どこにもないことである。
過去100年の傾向を、
ここ10年の傾向で否定することはできない。
地球温暖化を否定する別の論法は、
どこそこでは稀にみる寒波に襲われている、
といった個々の現象を羅列するものだ。
どんなに事例を列挙しても、
それが証明にならないことは
数理論理学をちょっとでもかじった人にはわかることだ。
そもそも、地球温暖化とは気候変動のことである。
気候とは、ある程度の“広がりを持った地域”の、
“長期的”な“平均的気象状態”であって、
平均したもののみが意味を持つ。
局地的、あるいは短期的な事例は
気候に対しては意味を持たないのだ。
それに、局地的、短期的寒波は、
地球温暖化で説明できる。
局地的、短期的寒波の多くは、
偏西風の蛇行が原因だ。
偏西風が大きく蛇行すれば、
低緯度地方の暖気がより沢山高緯度地方に運ばれ、
高緯度地方の寒気がより沢山低緯度地方に運ばれる。
この寒気が運ばれた地域が寒波に襲われるわけだ。
そして、この偏西風の蛇行は、
地球温暖化が進めば激しくなる傾向がある。
偏西風の蛇行は、
低緯度と高緯度の温度差が大きくなったときに、
この温度差による不安定を解消しようとして起こる
自然界のメカニズムのひとつだ。
自然界は本当に上手くできている。
地球温暖化が進めば、
地球大気中の熱エネルギーは全体的に増加する。
したがって、輸送すべき熱量も増える。
より多くの熱量を運ぶためには、
偏西風の蛇行が大きくなって、
南北流が増える必要があるのだ。
このメカニズムから考えると、
地球温暖化が進めば、
地球全体の平均気温が上がるだけではなく、
局地的、短期的熱波や寒波は、
これまで以上に厳しくなり、
これまで起こらなかった激しい現象が増え、
いわゆる異常気象も増えると推論される。
やはり、地球温暖化は
可能な限り抑える努力をすべきだと思う。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)