カテゴリー「気象予報」の記事

2017年12月20日 (水)

地球温暖化考(その3)

私は地球温暖化は進んでいると思っているが、
いや進んでいない、或いは逆に寒冷化している、
と主張している人たちもいる。


寒冷化を主張する人たちの説明を聞いていると、
ここ10年くらいの気温の変化が上昇傾向にないとか、
太陽黒点の数が少なく
過去の寒かった時代に似ている、
というものが多い。

しかし、これらの論法には大きな欠陥がある。
高々ここ10年の状況を見ても、
それがこの先100年の傾向と同じである理由が
どこにもない
ことである。
過去100年の傾向を、
ここ10年の傾向で否定することはできない



地球温暖化を否定する別の論法は、
どこそこでは稀にみる寒波に襲われている
といった個々の現象を羅列するものだ。

どんなに事例を列挙しても、
それが証明にならない
ことは
数理論理学をちょっとでもかじった人にはわかることだ。


そもそも、地球温暖化とは気候変動のことである。
気候とはある程度の“広がりを持った地域”の、
“長期的”な“平均的気象状態”
であって、
平均したもののみが意味を持つ
局地的、あるいは短期的な事例は
気候に対しては意味を持たないのだ。

それに、局地的、短期的寒波は、
地球温暖化で説明できる。
局地的、短期的寒波の多くは、
偏西風の蛇行が原因
だ。
偏西風が大きく蛇行すれば、
低緯度地方の暖気がより沢山高緯度地方に運ばれ、
高緯度地方の寒気がより沢山低緯度地方に運ばれる

この寒気が運ばれた地域が寒波に襲われるわけだ。
そして、この偏西風の蛇行は、
地球温暖化が進めば激しくなる傾向がある。

偏西風の蛇行は、
低緯度と高緯度の温度差が大きくなったときに、
この温度差による不安定を解消しようとして起こる
自然界のメカニズムのひとつだ。
自然界は本当に上手くできている。

地球温暖化が進めば、
地球大気中の熱エネルギーは全体的に増加する。
したがって、輸送すべき熱量も増える。
より多くの熱量を運ぶためには、
偏西風の蛇行が大きくなって、
南北流が増える必要がある
のだ。

このメカニズムから考えると、
地球温暖化が進めば、
地球全体の平均気温が上がるだけではなく、
局地的、短期的熱波や寒波は、
これまで以上に厳しく
なり、
これまで起こらなかった激しい現象が増え、
いわゆる異常気象も増えると推論される。

やはり、地球温暖化は
可能な限り抑える努力をすべきだと思う。

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2017年12月19日 (火)

地球温暖化考(その2)

地球温暖化気候が変わると、
ぱっと思いつくだけでも
洪水の増加
砂漠の増加
海面上昇
低地の水没
生態系の変化
伝染病の増加
ある種の生物の絶滅
農業・漁業・林業等への大きな影響
などが挙げられる。
人類への影響も小さくない。
雪かきしなくて良くなるからいい、
などとは言っていられない。


一方で、
地球は温暖化していないという専門家もいる。
これから寒冷化するという人さえいる。
地球は温暖化しているのかいないのか。

これを議論すること、
いや、議論は大いに結構だが、
短兵急に結論を出すことは、
社会的な意味はあっても
科学的な意味はあまりない気がする。
なぜなら、
これから100年200年経つまで
どちらが正しいのか確認できない
のだから。
気候とはそういうものだ。


地球温暖化が、
世界的に政治利用されている
のは確かだろう。
しかしそのことは、
地球が温暖化していない証拠にはならない。

地球温暖化しているいないにかかわらず、
その可能性があり、
その悪い影響が大きいのなら、
念のため対策することは必要だろう。

社会的には温暖化が進んでいるとしておきたい。

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2017年12月18日 (月)

地球温暖化考(その1)

エルニーニョ現象、ラニーニャ現象だけでなく、
地球温暖化に、
個別の異常気象や特異な気象現象の
原因を求めるケースも多く見受けられる。

これも少し違う。
地球温暖化とは気候の変化であり、
大きな“傾向”の変化である。

雨量が増える傾向にあれば大雨は増えるだろう。
地球温暖化は大雨が“増えること”の原因ではあっても、
個々の大雨の“原因”ではない。



そもそも、地球温暖化や、
エルニーニョ・ラニーニャ現象は、
日々の気象現象に比べて
時間スケールが非常に長く、
股間スケールの短い個々の特異な気象現象の
環境要因、あるいは誘因ではあり得ても、
発生原因ではあり得ない。


例えば、交通量の増加は、
交通事故が起こりやすくなる環境要因だが、
それ自体は個々の事故の原因ではなく、
信号無視やわき見運転などが直接原因である。
或いは、
交通事故の多い交差点やカーブがあるが、
その道路構造は、
事故の起こりやすい環境要因ではあっても、
やはり個々の事故の原因ではない。
これらと同じ理屈だ。


なので、大雨などについて「地球温暖化が原因ですか」
と聞かれて困ることがある。
特に番組内での質問では
無碍に否定するわけにもいかず、
専門家の矜持として肯定もできない。

例えば大雨の原因は、
前線通過だったり、暖湿気流の流入だったり様々だが、
地球温暖化は大雨の回数を増やす環境要因ではあっても
大雨の直接の原因ではないから。


これらは、気象の専門家や、
報道関係者に対する注文。
一般の方々から誤解を受けるような表現は
避けてほしいと思う。

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2017年10月21日 (土)

気温のはなし(その4)・露点温度のはなし

「気温のはなし」というタイトルだが、
話の流れで露点温度について書く。


気温のはなし(その3)に出てきたエマグラムには、
上空の気温だけでなく、
露点温度もグラフとして描かれる。

露点温度とは

圧力(気圧)一定のもとで空気を冷却していくと
空気中の水蒸気はある温度で飽和(相対湿度100%)に達し、
凝結し始める(露を結ぶ)。
そのときの温度のことである。
文字どおり、を結ぶだ。

名前は「温度」だが、
大気の温度(気温)とは関係なく、
大気中に含まれる水蒸気の量を表す指標である。

大気中の水蒸気量を表す指標はいろいろあるが、
日常生活で最も実用的なのは露点温度だろう。
気温が何度まで下がれば結露しはじめるのかがわかる
という点が実用的である。

気温と露点温度の差
湿数(しっすう)と呼ぶが、
通常、これが大きいほど空気は乾いていると思っていい。


何らかの理由で気温が露点温度まで下がったり、
あるいは水蒸気が補給されて
露点温度が気温と同じになるまで上がったりすると、
相対湿度が100%となる(飽和する)。

同様の状況がさらに続くと結露が始まり、
気象現象としては「雲」が発生したり、
地表面では「霧」や「もや」が発生する。


実際の大気では、
大気中のエーロゾル(塵や埃)の種類や量によっては、
飽和する前に凝結が始まるし、
逆にエーロゾルが全くなければ、
飽和してもなかなか凝結は始まらない。

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2017年10月20日 (金)

気温のはなし(その3)

今回は地上ではなく、上空の気温の話。
ちょっと難しいかも。


高層気象観測
で上空の気温を観測した成果を
グラフ化したものを状態曲線と呼ぶ。

上空10kmあたりまでの対流圏内では、
通常上に行くほど気温が下がるので、
高い山の上は寒い。

気温が下がる平均的な割合は、
1km当たり6.5℃で、
これを気温減率と呼ぶ。
登山などでは“6℃/km”で
概算することが多いようだ。

ここから先は、
「気象予報士試験」を受験されるような
中上級者向けの話。

上空ほど気温が下がる割合の限界は、
1km当たり約10℃。
これを乾燥断熱減率という。
それより急に下がる層は、
絶対不安定であるため基本的に存在できず、
日射が強い時の地表面付近以外にはない。

乾燥断熱減率になっている層の気温分布を
エマグラム(専用のグラフ用紙)に記入すると、
乾燥断熱線と平行になる。

対流圏内でも、
部分的に上に行くほど気温が上がる層が存在することがあり、
珍しくはない。
このような層を逆転層と呼ぶ。

放射霧が出るようなときの接地逆転層
前線に伴う前線性逆転層
高気圧に伴う沈降性逆転層がある。

対流圏では、
状態曲線は一般に左上がりだが、
逆転層では右上がりになる。

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2017年10月19日 (木)

気温のはなし(その2)

「最低(最高)気温」といえば、
通常は“日最低(最高)気温”のこと。
つまり、
0時~24時の間の最低(最高)気温
これはわかりやすい。

ところが、報道では
これとは違う時間帯での最低(最高)気温が
使われていることがあり、
ややこしい。


天気予報において、

明日朝の最低気温」は、
   明日0時から9時までの最低気温、

「(明日)日中の最高気温」は、
   9時から18時までの最高気温

である。

時間帯が24時間ではないので、
当然、“日最低気温”、“日最高気温”と異なることがある。

真冬では日中も気温が下がり続けることがあり、
「明日朝の最低気温」と「日中の最高気温」が
どちらも同じ
(9時の)気温になることもある



ここまでは予報の話だが、
実況値
(観測された値)の報道は更にややこしい。

気象庁WEBによれば、
 「新聞等では、
  最高気温は当日0時~15時
  最低気温は前日21時~当日9時
  対象とした値を掲載していることが多い。」
とある。

朝9時より前の最低気温の報道や、
15時 より前の最高気温の報道は、
これすら成り立たないことになるし、
そもそも『ことが多い』なので、
報道によって異なると考えておいた方がいい。

テレビ、ラジオの
今日の実況値としての
最低・最高気温の報道は、
時間帯を明示することになっているが、
明示されていない場合も多い
統計に用いる場合は要注意だ。

というより、
統計には、気象庁のウェブページから
ダウンロードしたデータを使うことをお勧めする。

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2017年10月18日 (水)

気温のはなし(その1)

暖かくなったり、寒くなったり、
1日の気温変化(日較差)も大きくなったり、
秋らしく気温の上下が大きくなってきた。

さて、この気温にも測り方の決まりがある
個人的に測る分にはどうでもいいが、
発表したり、災害防止に使う場合は
決まり(法令)に従わなくていはならない。


気象庁の地上気象観測では、
気温は地上1.5mの高さで測る
ことになっている。
更に、露場(簡単に言えば広い芝地)内で、
感部が日射あるいは地表や周囲の建造物からの
反射や放射の影響を受けないことが必要とされている。
なので、
TV番組内でその場で測っている気温は、
本来の気温とはかなりの誤差
があるだろう。

気象台やアメダスの気温観測は、
露場内の地上1.5mに設置された
通風筒(写真・気象庁webより)の中の
電気式温度計で行われている。



Image014


筒は、直射日光や周囲からの反射や放射を防いでいる。
上部にはファンがあり、
常時下から空気を吸い上げ、
熱がこもらないように周囲の気温に馴染ませている。

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2017年10月12日 (木)

長期予報(これも確率予報だよ! その2)

降水確率同様、
確率予報である長期予報も
個々の予報の当たり外れは言えない

(理由は降水確率予報の記事参照)

また、確率予報の解釈として、
例えば
 平年より高い確率:10%
 平年並の確率  :10%
 平年より低い確率:80%
という予報を「寒さが厳しくなる」と解釈するのは誤りだ。

確率は、“頻度”の確率に過ぎず、
平年値との差の大小の意味はない

上記と同じ確率の予報が10回出れば、
 そのうち8回程度は平年より低くなるが、
 1回程度は平年並みとなり、
 1回程度は平年より高くなる
という意味でしかない。


長期予報には、
確率表現ではないが
晴れや雨などの天気日数の表現もある。

気象庁の解説によれば、

平年に比べて多い(少ない)」は
   平年の日数よりも多い(少ない)
平年と同様に多い(少ない)」は
   平年の日数と同程度に多い(少ない)
単に「多い(少ない)」は
   対象期間の1/2より多い(少ない)

ことを意味する。

利用者の殆どはそんな違いは知らないし、
意識して聞くこともないだろう

気象庁さん、わかりにくいぞ。

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2017年10月11日 (水)

長期予報(これも確率予報だよ! その1)

気象庁の確率を用いた予報は
降水確率予報だけではない。

1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などの
長期予報も確率を用いた予報だ。

例えば、10月5日発表の「東北地方1か月予報」の気温予報は、
向こう1か月の平均気温が、
 平年より高い確率:30%
 平年並の確率  :40%
 平年より低い確率:30%
であり、確率表現で発表されている

なお、平年並みと、高い・低いとの境目は
過去30年の気温を順に並べ
1/3ずつになる境目の値である。

気象庁WEB

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/sankou/tohoku1.html …


 「予測資料の信頼性が大きい場合には
 10%以下や60%以上の確率を付けられるが、
 特定の階級を強調できない場合には
 30%、40%の確率しか付けられない

(一部略)とある。

上記の予報の場合、30%と40%しかない。
このような場合は、
向こう1か月はどう転ぶかわからない
という予報である。

全て33%で予報できれば、
本当にどう転ぶかわからない予報となるが、
10%刻みで予報するため、
合計を100%にするためには、
どこか1か所が
どうしても40%になってしまうのだ。

なので、40%のところを
強調すべきではない。


また、多くの場合、
「向こう1か月の平均気温は、平年並みか高い」
といったように、
確率の数値抜きに報道されており、
一般市民に“確定的予報と誤解されてしまっている。

例えば、上記の表現では、
向こう1か月の平均気温が
平年より低い可能性が
微塵も感じられない表現となっている
が、
この表現になる元の予報は、
高:40%、並:40%、低:20%で、
平年より低くなる確率が20%もあるのだ。

これでは予報内容が正しく伝わらず、
拙い報道と言わざるを得ない。

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2017年10月 9日 (月)

降水確率予報(その5)

前に、天気予報を完全に当てることができないからこその
確率予報だと書いた。

当然、天気予報の利用者としては
白黒はっきりしてくれ
と言いたいだろう。
当然である。

しかし、完全に当てる天気予報は
現在の手法、科学技術では
原理的に無理なのだから仕方がない。

 原理的に無理とは、
 天気予報の出発点である観測値には必ず誤差が含まれる、
 計算中に四捨五入等の操作も行われる、
 コンピューターの性能により、計算量に限界がある、
 そもそも気象現象にはカオス(混沌)的性質がある、
 人間活動による発熱やその他の変動要因があるなど、
 誤差要因がいくらでもあり、
 それらを完全に取り除くことはが不可能ということだ。


「白黒はっきりしない確率予報は役に立たない」
と思っている人も多いと思うが、
ちょっと待って欲しい。

エリアが広いことで
白黒をはっきりさせられない天気予報になっているなら、
エリアの細分化で解決できる。

気象庁の予報区はエリアが広いが、
民間の気象会社
の予報なら
ピンポイントの予報”もある。
民間予報の利用も検討していただきたい。

更に、白黒はっきりしない確率予報ならではの利用法がある。
気象庁の確率予報の検証例で示したように、
降水確率の予報確率と、
実際に1mm以上の降水があった割合とは、
かなりしっかりと合致している。
これを用いて
雨対策を施すか施さないか判断することによって
コストダウンができるのだ。

雨対策をせずに雨に降られて発生する損害額(ロス)
雨対策の必要経費(コスト)がわかれば、
降水確率によって、
対策をした方が得かしない方が得か
計算できるのである。

ロスが大きい人にとっては、

確率予報は上手に利用すべきもの
なのだ。
この理論は「コストロスモデル」と呼ばれ、
事例が気象庁のウェブサイト

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/explain/cost_loss.html

… にも掲載されている。

理屈を理解し、
会社経営者等が自分で適用できるに越したことはないが、
理解できなくても大丈夫。

餅は餅屋

私が代表を務める気象会社、
ウェザープランニングにご用命いただければ
コンサルティングさせていただく。

実は、社名の“プランニング”は、
気象予測に基づいて、
企業等の様々な活動を
計画(プランニング)する、
というところからきている。

会社の宣伝になってしまった。

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