カテゴリー「気象予報」の記事

2018年3月 7日 (水)

高気圧と気団のはなし(その2)

<2>オホーツク海気団
オホーツク海気団は、
オホーツク海高気圧のもととなる
海洋性の気団で、
冷たいオホーツク海で発生発達する。

オホーツク海高気圧は、
ごく下層では冷たく湿っているが、
その上の方では周囲より暖かい、
ちょっと奇妙な背の高い高気圧だ。

上空のブロッキング高気圧と相まって
発生
することが多い。

冷たく湿った北東気流
(いわゆる“やませ”)のもととなり、
北日本、東日本の太平洋側に
冷害をもたらすことがある
移動が遅く、長期間影響する。


<3>シベリア気団
シベリア気団は、
シベリア高気圧のもととなる
大陸性の気団で、
冬季に高緯度の大陸で発生発達する。

シベリア高気圧は、
非常に冷たく乾いており、
対流圏下層のみの背の低い高気圧である。
背の低さは、
これまた“層厚”(専門用語失礼)の
考え方で説明できるが、
詳細は省略する。

冬季には、この高気圧から
北西の季節風が日本海に吹き出し、
海上で、冬型の気圧配置に特有の筋状の雲を作る。


<4>長江気団(旧・揚子江気団)
長江気団は、
千切れて移動性高気圧のもととなる
大陸性の気団で、
暖かく乾いており、
比較的暖かいアジア大陸で発生発達する。

移動性高気圧は、
春、秋には日本付近を通過することが多いため、
春、秋の主役である。
ある程度暖かく、
乾いた高気圧なので、
勢力圏内では爽やかな晴れが多い

低気圧と交互に来ることが多く、
また、太平洋高気圧などに比べて
サイズが小さく、移動することから、
勢力圏に入るのは2~3日のことが多い。

高気圧の中心が過ぎると
低気圧が接近してくるため
天気は下り坂となることが多い。


<5(おまけ)赤道気団
これは、前述の4つとは少し異質だ。
日本に影響するときは、
高気圧としてではなく、
台風(熱帯低気圧)としてやってくる
非常に暖かく、非常に湿った海洋性の気団だ。



前線は、
これら性質の違った気団の間に発生し、
熱帯低気圧は別にして、
基本的に、温帯低気圧は、
この前線上に発生、発達する。
その意味では、
天気を語るには、
いわゆる悪天のもととなる低気圧ではなくて、
前線発生の原因となる
気団(高気圧)から始めるべきかも知れない。

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2018年3月 6日 (火)

高気圧と気団のはなし(その1)

日本付近には、
おおまかにいって4つの気団がある。
気団とは、言わば同じ性質の空気の大きな塊だ。

気団が発生するには、
ある程度(差し渡し1000km程度以上)の
広さをもつ地域に、
ある程度(1週間程度以上)の
期間空気が滞留する必要があり、
どこにでも発生できるわけではない。

では、日本に影響を与える気団を
順に説明していこう。


<1>小笠原気団
小笠原気団は、
太平洋高気圧のもととなる海洋性の気団で、
暖かい北太平洋上の
北緯30度付近を中心に発生発達する。

太平洋高気圧は、
亜熱帯高気圧(subtropical high)の一種であるため
予報現場ではサブハイと呼ばれている。

太平洋高気圧は、
暖かくて湿った背の高い高気圧だ。
背が高いとは、
上空の高い高度に至るまで
周囲より気圧が高いということ。
この理由は、“層厚”(専門用語失礼)の
考え方で説明できるが、
詳細は省略する。

太平洋高気圧の圏内は
いわゆる好天となりやすいが、
縁辺流(日本付近では概ね南西の暖湿気流)は
梅雨前線を刺激(水蒸気を補給)するなどして
大雨をもたらすこともある。
また、台風は縁辺を回る進路をとることが多い。

太平洋高気圧の勢力が増し、
梅雨前線を東北地方以北に押し上げたり、
消滅させたりすると
全国的に梅雨明けとなる。

(つづく)

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2017年12月20日 (水)

地球温暖化考(その3)

私は地球温暖化は進んでいると思っているが、
いや進んでいない、或いは逆に寒冷化している、
と主張している人たちもいる。


寒冷化を主張する人たちの説明を聞いていると、
ここ10年くらいの気温の変化が上昇傾向にないとか、
太陽黒点の数が少なく
過去の寒かった時代に似ている、
というものが多い。

しかし、これらの論法には大きな欠陥がある。
高々ここ10年の状況を見ても、
それがこの先100年の傾向と同じである理由が
どこにもない
ことである。
過去100年の傾向を、
ここ10年の傾向で否定することはできない



地球温暖化を否定する別の論法は、
どこそこでは稀にみる寒波に襲われている
といった個々の現象を羅列するものだ。

どんなに事例を列挙しても、
それが証明にならない
ことは
数理論理学をちょっとでもかじった人にはわかることだ。


そもそも、地球温暖化とは気候変動のことである。
気候とはある程度の“広がりを持った地域”の、
“長期的”な“平均的気象状態”
であって、
平均したもののみが意味を持つ
局地的、あるいは短期的な事例は
気候に対しては意味を持たないのだ。

それに、局地的、短期的寒波は、
地球温暖化で説明できる。
局地的、短期的寒波の多くは、
偏西風の蛇行が原因
だ。
偏西風が大きく蛇行すれば、
低緯度地方の暖気がより沢山高緯度地方に運ばれ、
高緯度地方の寒気がより沢山低緯度地方に運ばれる

この寒気が運ばれた地域が寒波に襲われるわけだ。
そして、この偏西風の蛇行は、
地球温暖化が進めば激しくなる傾向がある。

偏西風の蛇行は、
低緯度と高緯度の温度差が大きくなったときに、
この温度差による不安定を解消しようとして起こる
自然界のメカニズムのひとつだ。
自然界は本当に上手くできている。

地球温暖化が進めば、
地球大気中の熱エネルギーは全体的に増加する。
したがって、輸送すべき熱量も増える。
より多くの熱量を運ぶためには、
偏西風の蛇行が大きくなって、
南北流が増える必要がある
のだ。

このメカニズムから考えると、
地球温暖化が進めば、
地球全体の平均気温が上がるだけではなく、
局地的、短期的熱波や寒波は、
これまで以上に厳しく
なり、
これまで起こらなかった激しい現象が増え、
いわゆる異常気象も増えると推論される。

やはり、地球温暖化は
可能な限り抑える努力をすべきだと思う。

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2017年12月19日 (火)

地球温暖化考(その2)

地球温暖化気候が変わると、
ぱっと思いつくだけでも
洪水の増加
砂漠の増加
海面上昇
低地の水没
生態系の変化
伝染病の増加
ある種の生物の絶滅
農業・漁業・林業等への大きな影響
などが挙げられる。
人類への影響も小さくない。
雪かきしなくて良くなるからいい、
などとは言っていられない。


一方で、
地球は温暖化していないという専門家もいる。
これから寒冷化するという人さえいる。
地球は温暖化しているのかいないのか。

これを議論すること、
いや、議論は大いに結構だが、
短兵急に結論を出すことは、
社会的な意味はあっても
科学的な意味はあまりない気がする。
なぜなら、
これから100年200年経つまで
どちらが正しいのか確認できない
のだから。
気候とはそういうものだ。


地球温暖化が、
世界的に政治利用されている
のは確かだろう。
しかしそのことは、
地球が温暖化していない証拠にはならない。

地球温暖化しているいないにかかわらず、
その可能性があり、
その悪い影響が大きいのなら、
念のため対策することは必要だろう。

社会的には温暖化が進んでいるとしておきたい。

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2017年12月18日 (月)

地球温暖化考(その1)

エルニーニョ現象、ラニーニャ現象だけでなく、
地球温暖化に、
個別の異常気象や特異な気象現象の
原因を求めるケースも多く見受けられる。

これも少し違う。
地球温暖化とは気候の変化であり、
大きな“傾向”の変化である。

雨量が増える傾向にあれば大雨は増えるだろう。
地球温暖化は大雨が“増えること”の原因ではあっても、
個々の大雨の“原因”ではない。



そもそも、地球温暖化や、
エルニーニョ・ラニーニャ現象は、
日々の気象現象に比べて
時間スケールが非常に長く、
時間スケールの短い個々の特異な気象現象の
環境要因、あるいは誘因ではあり得ても、
発生原因ではあり得ない。


例えば、交通量の増加は、
交通事故が起こりやすくなる環境要因だが、
それ自体は個々の事故の原因ではなく、
信号無視やわき見運転などが直接原因である。
或いは、
交通事故の多い交差点やカーブがあるが、
その道路構造は、
事故の起こりやすい環境要因ではあっても、
やはり個々の事故の原因ではない。
これらと同じ理屈だ。


なので、大雨などについて「地球温暖化が原因ですか」
と聞かれて困ることがある。
特に番組内での質問では
無碍に否定するわけにもいかず、
専門家の矜持として肯定もできない。

例えば大雨の原因は、
前線通過だったり、暖湿気流の流入だったり様々だが、
地球温暖化は大雨の回数を増やす環境要因ではあっても
大雨の直接の原因ではないから。


これらは、気象の専門家や、
報道関係者に対する注文。
一般の方々から誤解を受けるような表現は
避けてほしいと思う。

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2017年10月21日 (土)

気温のはなし(その4)・露点温度のはなし

「気温のはなし」というタイトルだが、
話の流れで露点温度について書く。


気温のはなし(その3)に出てきたエマグラムには、
上空の気温だけでなく、
露点温度もグラフとして描かれる。

露点温度とは

圧力(気圧)一定のもとで空気を冷却していくと
空気中の水蒸気はある温度で飽和(相対湿度100%)に達し、
凝結し始める(露を結ぶ)。
そのときの温度のことである。
文字どおり、を結ぶだ。

名前は「温度」だが、
大気の温度(気温)とは関係なく、
大気中に含まれる水蒸気の量を表す指標である。

大気中の水蒸気量を表す指標はいろいろあるが、
日常生活で最も実用的なのは露点温度だろう。
気温が何度まで下がれば結露しはじめるのかがわかる
という点が実用的である。

気温と露点温度の差
湿数(しっすう)と呼ぶが、
通常、これが大きいほど空気は乾いていると思っていい。


何らかの理由で気温が露点温度まで下がったり、
あるいは水蒸気が補給されて
露点温度が気温と同じになるまで上がったりすると、
相対湿度が100%となる(飽和する)。

同様の状況がさらに続くと結露が始まり、
気象現象としては「雲」が発生したり、
地表面では「霧」や「もや」が発生する。


実際の大気では、
大気中のエーロゾル(塵や埃)の種類や量によっては、
飽和する前に凝結が始まるし、
逆にエーロゾルが全くなければ、
飽和してもなかなか凝結は始まらない。

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2017年10月20日 (金)

気温のはなし(その3)

今回は地上ではなく、上空の気温の話。
ちょっと難しいかも。


高層気象観測
で上空の気温を観測した成果を
グラフ化したものを状態曲線と呼ぶ。

上空10kmあたりまでの対流圏内では、
通常上に行くほど気温が下がるので、
高い山の上は寒い。

気温が下がる平均的な割合は、
1km当たり6.5℃で、
これを気温減率と呼ぶ。
登山などでは“6℃/km”で
概算することが多いようだ。

ここから先は、
「気象予報士試験」を受験されるような
中上級者向けの話。

上空ほど気温が下がる割合の限界は、
1km当たり約10℃。
これを乾燥断熱減率という。
それより急に下がる層は、
絶対不安定であるため基本的に存在できず、
日射が強い時の地表面付近以外にはない。

乾燥断熱減率になっている層の気温分布を
エマグラム(専用のグラフ用紙)に記入すると、
乾燥断熱線と平行になる。

対流圏内でも、
部分的に上に行くほど気温が上がる層が存在することがあり、
珍しくはない。
このような層を逆転層と呼ぶ。

放射霧が出るようなときの接地逆転層
前線に伴う前線性逆転層
高気圧に伴う沈降性逆転層がある。

対流圏では、
状態曲線は一般に左上がりだが、
逆転層では右上がりになる。

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2017年10月19日 (木)

気温のはなし(その2)

「最低(最高)気温」といえば、
通常は“日最低(最高)気温”のこと。
つまり、
0時~24時の間の最低(最高)気温
これはわかりやすい。

ところが、報道では
これとは違う時間帯での最低(最高)気温が
使われていることがあり、
ややこしい。


天気予報において、

明日朝の最低気温」は、
   明日0時から9時までの最低気温、

「(明日)日中の最高気温」は、
   9時から18時までの最高気温

である。

時間帯が24時間ではないので、
当然、“日最低気温”、“日最高気温”と異なることがある。

真冬では日中も気温が下がり続けることがあり、
「明日朝の最低気温」と「日中の最高気温」が
どちらも同じ
(9時の)気温になることもある



ここまでは予報の話だが、
実況値
(観測された値)の報道は更にややこしい。

気象庁WEBによれば、
 「新聞等では、
  最高気温は当日0時~15時
  最低気温は前日21時~当日9時
  対象とした値を掲載していることが多い。」
とある。

朝9時より前の最低気温の報道や、
15時 より前の最高気温の報道は、
これすら成り立たないことになるし、
そもそも『ことが多い』なので、
報道によって異なると考えておいた方がいい。

テレビ、ラジオの
今日の実況値としての
最低・最高気温の報道は、
時間帯を明示することになっているが、
明示されていない場合も多い
統計に用いる場合は要注意だ。

というより、
統計には、気象庁のウェブページから
ダウンロードしたデータを使うことをお勧めする。

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2017年10月18日 (水)

気温のはなし(その1)

暖かくなったり、寒くなったり、
1日の気温変化(日較差)も大きくなったり、
秋らしく気温の上下が大きくなってきた。

さて、この気温にも測り方の決まりがある
個人的に測る分にはどうでもいいが、
発表したり、災害防止に使う場合は
決まり(法令)に従わなくていはならない。


気象庁の地上気象観測では、
気温は地上1.5mの高さで測る
ことになっている。
更に、露場(簡単に言えば広い芝地)内で、
感部が日射あるいは地表や周囲の建造物からの
反射や放射の影響を受けないことが必要とされている。
なので、
TV番組内でその場で測っている気温は、
本来の気温とはかなりの誤差
があるだろう。

気象台やアメダスの気温観測は、
露場内の地上1.5mに設置された
通風筒(写真・気象庁webより)の中の
電気式温度計で行われている。



Image014


筒は、直射日光や周囲からの反射や放射を防いでいる。
上部にはファンがあり、
常時下から空気を吸い上げ、
熱がこもらないように周囲の気温に馴染ませている。

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2017年10月12日 (木)

長期予報(これも確率予報だよ! その2)

降水確率同様、
確率予報である長期予報も
個々の予報の当たり外れは言えない

(理由は降水確率予報の記事参照)

また、確率予報の解釈として、
例えば
 平年より高い確率:10%
 平年並の確率  :10%
 平年より低い確率:80%
という予報を「寒さが厳しくなる」と解釈するのは誤りだ。

確率は、“頻度”の確率に過ぎず、
平年値との差の大小の意味はない

上記と同じ確率の予報が10回出れば、
 そのうち8回程度は平年より低くなるが、
 1回程度は平年並みとなり、
 1回程度は平年より高くなる
という意味でしかない。


長期予報には、
確率表現ではないが
晴れや雨などの天気日数の表現もある。

気象庁の解説によれば、

平年に比べて多い(少ない)」は
   平年の日数よりも多い(少ない)
平年と同様に多い(少ない)」は
   平年の日数と同程度に多い(少ない)
単に「多い(少ない)」は
   対象期間の1/2より多い(少ない)

ことを意味する。

利用者の殆どはそんな違いは知らないし、
意識して聞くこともないだろう

気象庁さん、わかりにくいぞ。

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