気象予報

2017年10月21日 (土)

気温のはなし(その4)・露点温度のはなし

「気温のはなし」というタイトルだが、
話の流れで露点温度について書く。


気温のはなし(その3)に出てきたエマグラムには、
上空の気温だけでなく、
露点温度もグラフとして描かれる。

露点温度とは

圧力(気圧)一定のもとで空気を冷却していくと
空気中の水蒸気はある温度で飽和(相対湿度100%)に達し、
凝結し始める(露を結ぶ)。
そのときの温度のことである。
文字どおり、を結ぶだ。

名前は「温度」だが、
大気の温度(気温)とは関係なく、
大気中に含まれる水蒸気の量を表す指標である。

大気中の水蒸気量を表す指標はいろいろあるが、
日常生活で最も実用的なのは露点温度だろう。
気温が何度まで下がれば結露しはじめるのかがわかる
という点が実用的である。

気温と露点温度の差
湿数(しっすう)と呼ぶが、
通常、これが大きいほど空気は乾いていると思っていい。


何らかの理由で気温が露点温度まで下がったり、
あるいは水蒸気が補給されて
露点温度が気温と同じになるまで上がったりすると、
相対湿度が100%となる(飽和する)。

同様の状況がさらに続くと結露が始まり、
気象現象としては「雲」が発生したり、
地表面では「霧」や「もや」が発生する。


実際の大気では、
大気中のエーロゾル(塵や埃)の種類や量によっては、
飽和する前に凝結が始まるし、
逆にエーロゾルが全くなければ、
飽和してもなかなか凝結は始まらない。

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2017年10月20日 (金)

気温のはなし(その3)

今回は地上ではなく、上空の気温の話。
ちょっと難しいかも。


高層気象観測
で上空の気温を観測した成果を
グラフ化したものを状態曲線と呼ぶ。

上空10kmあたりまでの対流圏内では、
通常上に行くほど気温が下がるので、
高い山の上は寒い。

気温が下がる平均的な割合は、
1km当たり6.5℃で、
これを気温減率と呼ぶ。
登山などでは“6℃/km”で
概算することが多いようだ。

ここから先は、
「気象予報士試験」を受験されるような
中上級者向けの話。

上空ほど気温が下がる割合の限界は、
1km当たり約10℃。
これを乾燥断熱減率という。
それより急に下がる層は、
絶対不安定であるため基本的に存在できず、
日射が強い時の地表面付近以外にはない。

乾燥断熱減率になっている層の気温分布を
エマグラム(専用のグラフ用紙)に記入すると、
乾燥断熱線と平行になる。

対流圏内でも、
部分的に上に行くほど気温が上がる層が存在することがあり、
珍しくはない。
このような層を逆転層と呼ぶ。

放射霧が出るようなときの接地逆転層
前線に伴う前線性逆転層
高気圧に伴う沈降性逆転層がある。

対流圏では、
状態曲線は一般に左上がりだが、
逆転層では右上がりになる。

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2017年10月19日 (木)

気温のはなし(その2)

「最低(最高)気温」といえば、
通常は“日最低(最高)気温”のこと。
つまり、
0時~24時の間の最低(最高)気温
これはわかりやすい。

ところが、報道では
これとは違う時間帯での最低(最高)気温が
使われていることがあり、
ややこしい。


天気予報において、

明日朝の最低気温」は、
   明日0時から9時までの最低気温、

「(明日)日中の最高気温」は、
   9時から18時までの最高気温

である。

時間帯が24時間ではないので、
当然、“日最低気温”、“日最高気温”と異なることがある。

真冬では日中も気温が下がり続けることがあり、
「明日朝の最低気温」と「日中の最高気温」が
どちらも同じ
(9時の)気温になることもある



ここまでは予報の話だが、
実況値
(観測された値)の報道は更にややこしい。

気象庁WEBによれば、
 「新聞等では、
  最高気温は当日0時~15時
  最低気温は前日21時~当日9時
  対象とした値を掲載していることが多い。」
とある。

朝9時より前の最低気温の報道や、
15時 より前の最高気温の報道は、
これすら成り立たないことになるし、
そもそも『ことが多い』なので、
報道によって異なると考えておいた方がいい。

テレビ、ラジオの
今日の実況値としての
最低・最高気温の報道は、
時間帯を明示することになっているが、
明示されていない場合も多い
統計に用いる場合は要注意だ。

というより、
統計には、気象庁のウェブページから
ダウンロードしたデータを使うことをお勧めする。

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2017年10月18日 (水)

気温のはなし(その1)

暖かくなったり、寒くなったり、
1日の気温変化(日較差)も大きくなったり、
秋らしく気温の上下が大きくなってきた。

さて、この気温にも測り方の決まりがある
個人的に測る分にはどうでもいいが、
発表したり、災害防止に使う場合は
決まり(法令)に従わなくていはならない。


気象庁の地上気象観測では、
気温は地上1.5mの高さで測る
ことになっている。
更に、露場(簡単に言えば広い芝地)内で、
感部が日射あるいは地表や周囲の建造物からの
反射や放射の影響を受けないことが必要とされている。
なので、
TV番組内でその場で測っている気温は、
本来の気温とはかなりの誤差
があるだろう。

気象台やアメダスの気温観測は、
露場内の地上1.5mに設置された
通風筒(写真・気象庁webより)の中の
電気式温度計で行われている。



Image014


筒は、直射日光や周囲からの反射や放射を防いでいる。
上部にはファンがあり、
常時下から空気を吸い上げ、
熱がこもらないように周囲の気温に馴染ませている。

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2017年10月12日 (木)

長期予報(これも確率予報だよ! その2)

降水確率同様、
確率予報である長期予報も
個々の予報の当たり外れは言えない

(理由は降水確率予報の記事参照)

また、確率予報の解釈として、
例えば
 平年より高い確率:10%
 平年並の確率  :10%
 平年より低い確率:80%
という予報を「寒さが厳しくなる」と解釈するのは誤りだ。

確率は、“頻度”の確率に過ぎず、
平年値との差の大小の意味はない

上記と同じ確率の予報が10回出れば、
 そのうち8回程度は平年より低くなるが、
 1回程度は平年並みとなり、
 1回程度は平年より高くなる
という意味でしかない。


長期予報には、
確率表現ではないが
晴れや雨などの天気日数の表現もある。

気象庁の解説によれば、

平年に比べて多い(少ない)」は
   平年の日数よりも多い(少ない)
平年と同様に多い(少ない)」は
   平年の日数と同程度に多い(少ない)
単に「多い(少ない)」は
   対象期間の1/2より多い(少ない)

ことを意味する。

利用者の殆どはそんな違いは知らないし、
意識して聞くこともないだろう

気象庁さん、わかりにくいぞ。

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2017年10月11日 (水)

長期予報(これも確率予報だよ! その1)

気象庁の確率を用いた予報は
降水確率予報だけではない。

1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などの
長期予報も確率を用いた予報だ。

例えば、10月5日発表の「東北地方1か月予報」の気温予報は、
向こう1か月の平均気温が、
 平年より高い確率:30%
 平年並の確率  :40%
 平年より低い確率:30%
であり、確率表現で発表されている

なお、平年並みと、高い・低いとの境目は
過去30年の気温を順に並べ
1/3ずつになる境目の値である。

気象庁WEB

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/sankou/tohoku1.html …


 「予測資料の信頼性が大きい場合には
 10%以下や60%以上の確率を付けられるが、
 特定の階級を強調できない場合には
 30%、40%の確率しか付けられない

(一部略)とある。

上記の予報の場合、30%と40%しかない。
このような場合は、
向こう1か月はどう転ぶかわからない
という予報である。

全て33%で予報できれば、
本当にどう転ぶかわからない予報となるが、
10%刻みで予報するため、
合計を100%にするためには、
どこか1か所が
どうしても40%になってしまうのだ。

なので、40%のところを
強調すべきではない。


また、多くの場合、
「向こう1か月の平均気温は、平年並みか高い」
といったように、
確率の数値抜きに報道されており、
一般市民に“確定的予報と誤解されてしまっている。

例えば、上記の表現では、
向こう1か月の平均気温が
平年より低い可能性が
微塵も感じられない表現となっている
が、
この表現になる元の予報は、
高:40%、並:40%、低:20%で、
平年より低くなる確率が20%もあるのだ。

これでは予報内容が正しく伝わらず、
拙い報道と言わざるを得ない。

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2017年10月 9日 (月)

降水確率予報(その5)

前に、天気予報を完全に当てることができないからこその
確率予報だと書いた。

当然、天気予報の利用者としては
白黒はっきりしてくれ
と言いたいだろう。
当然である。

しかし、完全に当てる天気予報は
現在の手法、科学技術では
原理的に無理なのだから仕方がない。

 原理的に無理とは、
 天気予報の出発点である観測値には必ず誤差が含まれる、
 計算中に四捨五入等の操作も行われる、
 コンピューターの性能により、計算量に限界がある、
 そもそも気象現象にはカオス(混沌)的性質がある、
 人間活動による発熱やその他の変動要因があるなど、
 誤差要因がいくらでもあり、
 それらを完全に取り除くことはが不可能ということだ。


「白黒はっきりしない確率予報は役に立たない」
と思っている人も多いと思うが、
ちょっと待って欲しい。

エリアが広いことで
白黒をはっきりさせられない天気予報になっているなら、
エリアの細分化で解決できる。

気象庁の予報区はエリアが広いが、
民間の気象会社
の予報なら
ピンポイントの予報”もある。
民間予報の利用も検討していただきたい。

更に、白黒はっきりしない確率予報ならではの利用法がある。
気象庁の確率予報の検証例で示したように、
降水確率の予報確率と、
実際に1mm以上の降水があった割合とは、
かなりしっかりと合致している。
これを用いて
雨対策を施すか施さないか判断することによって
コストダウンができるのだ。

雨対策をせずに雨に降られて発生する損害額(ロス)
雨対策の必要経費(コスト)がわかれば、
降水確率によって、
対策をした方が得かしない方が得か
計算できるのである。

ロスが大きい人にとっては、

確率予報は上手に利用すべきもの
なのだ。
この理論は「コストロスモデル」と呼ばれ、
事例が気象庁のウェブサイト

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/explain/cost_loss.html

… にも掲載されている。

理屈を理解し、
会社経営者等が自分で適用できるに越したことはないが、
理解できなくても大丈夫。

餅は餅屋

私が代表を務める気象会社、
ウェザープランニングにご用命いただければ
コンサルティングさせていただく。

実は、社名の“プランニング”は、
気象予測に基づいて、
企業等の様々な活動を
計画(プランニング)する、
というところからきている。

会社の宣伝になってしまった。

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2017年10月 8日 (日)

降水確率予報(その4)

わかりやすい確率の理解法をひとつ紹介しておこう。

例えば“秋田県沿岸”の予報区は南北に細長く、
南端と北端は100km以上離れている
南の方で1mm以上の雨が降り、
北の方で全く降らない天気も当然ある。

このような予報区に対して
0%、または100%の予報を出して、
バッチリ当てることは不可能
だ。

従って、このように広い予報区では、
予報区内での平均的な降水確率で予報せざるを得ない。

このため、
降水確率は面積確率と数学的には“同値”となる。
つまり、降水確率70%なら、
予報区域の70%の範囲で降水量1mm以上、
残りの30%で1mm未満になる予報と考えてよい。

この考え方によれば、
自分が70%のエリアに居て1mm以上降られるか、
30%のエリアに居て降られずに済むかは7分3分。
降られるか降られないかの確率が、
本来の確率予報の意味と同じ確率になって理解しやすい。

断っておくが、降水確率は本来面積確率ではない
この考え方はあくまで便宜的理解法であって、
本来の確率予報の意味とは異なるので注意。

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2017年10月 7日 (土)

降水確率予報(その3)

前に、
降水確率20%の予報だったので
洗濯物を干したら雨に降られて『天気予報が外れた』
と言った人のことを書いたが、
20%は雨が降らないという意味ではないし、

そもそも、
個々の確率予報の当たり外れの評価はできない

例えば、
神様がサイコロを振って、
1の目が出たら(1mm以上の)を降らせ、
それ以外では降らせないとする。
このとき、
「雨が降る(1の目が出る)確率は1/6(約17%)でしょう」
という予報は正しいだろう。

つまり、17%の確率予報が発表された時、
(たった1回サイコロを振ったとき)
雨に降られた(たまたま1の目が出た)からといって
予報が外れたとは言えないことになる。
だって雨が降ろうが降るまいが、
1/6(17%)の確率は正しい
のだから。


切り口を変えて見れば、
17%の予報が当たったかどうかは、
17%という予報が出たときの実況データを抽出して沢山集め
実際に(1mm以上の)雨が降った割合を調べて、
それが17%に近ければ「総じて当たった」と言え、
17%とかけ離れていれば「総じて外れた」と言えるが、
たった1回の予報については

((1/6の確率で)たまたま1の目が出てもおかしくはなく、)
当たり外れは言えない
ということだ。


このあたりが“確率”の理解しにくいところ。
予想は
20%、1/6など、
0(0%)以上1(100%)以下の中間的な数字だが、
結果
は(1mm以上の雨が)降ったか降らなかったか、
(サイコロの1の目が)出たか出なかったか
のどちらかしかなく、
1か0かのオールオアナッシングだ。
この違いがなかなか理解しにくくて難しい。


気象庁では、
降水確率予報の検証のひとつとして、
上記の考え方と同じ方法をとっており、
実際に1mm以上の雨が降った回数の割合と、
降水確率の予報値との対比をおこなっている。
例えば、降水確率40%と発表したときに、
実際には何%の割合で1mm以上の雨が降ったのかを検証する。
この結果は、下の例のように気象庁のウェブ上に公開されている。

Kakuritsukensyou

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2017年10月 6日 (金)

降水確率予報(その2)

降水確率に関する豆知識をもう3つほど。


降水確率は、10%刻みで発表される。
従って、
5%未満が予想される場合は0%と発表されるし、
95%以上が予想される場合は100%と発表される。

ゆえに、
0%は「絶対降らない」という意味ではないし、
100%も「必ず降る」という意味ではない


降水確率予報は、
今日明日の天気予報(6時間刻みの確率)だけでなく、
週間天気予報でも発表される。

両者は予報対象時間が異なるため、
降水確率のパーセンテージが同じでも、
雨や雪の降りやすさが異なる。

例えば、神様がサイコロを振り、
1,2の目が出れば(1mm以上の)雨を降らせ、
3~6の目が出れば雨を降らせないことにしたとする。
降水確率はそれぞれ約33%(=1/3)である。

今日明日予報では6時間刻みの確率予報なので、
神様は1日4回サイコロを振ることになる。
週間天気予報では24時間での確率予報なので、
神様は1日1回しかサイコロを振らない。

時間の長さが同じ1日24時間全体で比較すれば
4回もサイコロを振る前者の方が
明らかに1,2の目が(1回以上)出る可能性が高く、
つまり(1mm以上の)雨が降りやすいと言える。


初冠雪の便りも聞こえてきたが、
もう少し季節が進むと、
降水確率の発表時に
雨または雪の降る確率
雪または雨の降る確率
という言葉がつくことがある。
前者なら雨の方が、
後者なら雪の方
降る可能性が高いことを示している。

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