カテゴリー「気象観測」の記事

2018年2月19日 (月)

なだれ(雪崩)のはなし

少し前に、仙岩トンネル出入り口付近の
雪崩による通行止めがあった。


雪崩にはいくつかの分類法があり、
よく使われるのが
表層雪崩全層雪崩

表層雪崩は、
寒い時期に、大雪が降るなど、
古いしまった雪の上に新雪が積もった時
起こりやすい。

全層雪崩は、
春先に気温が上がるなど、
地面と積雪の間に滑り面ができて起こる。


他の分類としては、
雪崩の発生(始動)域の積雪が
水分を多く含む湿雪雪崩
水分をあまり含まない乾雪雪崩

発生の形で
点発生雪崩
面発生雪崩
分類がある。


これらを組み合わせて
「点発生乾雪表層雪崩」
のように表現する。

このように
3通りの分類の組み合わせで、
雪崩は8種類に分類される。

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2018年2月14日 (水)

三寒四温

ここのところ、テレビラジオで
「三寒四温」という言葉を何度か耳にした。

この言葉は
春の周期的変化を表す言葉としてよく使われているが
実は冬の様子を表す言葉だ。
しかも日本のではない。

気象庁の「予報用語」には、
冬期に3日間くらい寒い日が続き、
次の4日間くらい暖かく、
これが繰り返されること。
中国北部、朝鮮半島などに顕著な現象。

と説明されている。

私も昔、誤解していた。

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2018年1月15日 (月)

気圧の話(気圧って何だ?)

ところで、気圧って何だろう?

気圧は大気の圧力である。

ん?そもそも圧力って何だ??

圧力とは、単位面積(1㎡)にかかる力のことだ。
じゃあ、大気の力って???

大気の力を感じることはあまりない。
あるとすれば風の力かな。

強い風が吹くと押される。圧力を感じる。
うんと強い風だと転びそうになったりもする。
でも、これは風圧であって気圧ではない
風圧は、空気が動くことによって、
その速度が生む力だ。
これは気圧とは別物だ。

気圧は空気が動いていなくても存在する力。
(力といっても単位面積当たりだけどね。)

動いていなくても存在する力って何だ????

手のひらに玉キャベツを載せてみよう。
キャベツは手の上で静止していても重く感じる。
これがキャベツの力だ。
正確に言うと、キャベツに働く重力だ。
地球のもつ下向きの重力加速度
キャベツの質量に比例する力を生む
これを通常キャベツの重さと呼んでいる。
(キャベツを人間に置き換えたら体重だ。)

大気にも質量があるから、
キャベツ同様地上で静止していても、
その質量に比例する重さがある。
この重さを、大気全体で測っても仕方ないので、
1平方メートルの底面積の
大気の柱(以下気柱と呼ぶ)を考え、
この気柱に働く重力(気柱の重さ)を気圧と呼んでいる

何のことはない、
面積が1㎡である蕎麦出前用のお盆を用意して、
これを片手で持って(両手でもいいが)
その上に載っている気柱全体の重さが、
お盆の高さでの気圧である。

何を隠そう、この気柱の重さは、
地表面ではおよそ10トンである。
しかし、お盆を持っている人は、
大気の重さを感じることはなく
お盆の重さしか感じない。
何故か。

圧力には面白い性質があって、
全ての方向に同じ大きさで伝わる
下向きだけでなく、
前後左右、上にも同じ大きさで伝わる。
これをパスカルの原理という。

お盆には、お盆の上の大気の重さが
圧力として上から働いている
けれど、
同じ圧力で下からも押されていて、
これらが打ち消しあうため重さを感じないのだ。
(厳密には、お盆の厚さの分の空気の重さ分の
浮力(上向きの力)が働いているけれど、
小さすぎてわからない。)

ということで、
気圧とは、その高さで、
1平方メートルの面積の上にある大気の重さ

ということで、
当然上に行くほど小さくなる

気象予報士試験でも
気圧をこのように考えることによって
簡単に解ける問題が何度も出題されている。

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2018年1月11日 (木)

気圧のはなし

ときどき
何ヘクトパスカル(hPa)から高(低)気圧ですか
という質問を受ける。


高気圧低気圧気圧の数値では決まらない
周囲より気圧が高いところが高気圧
周囲より気圧が低いところが低気圧
だ。

高気圧は山の頂上に似ている。
山頂の標高がどんなに低かろうと、
ある地点からどちらかの方向に
少しでもずれれば標高が下がるような地点が頂上だ。
この標高を気圧に置き換えれば高気圧だ。

このように、高(低)気圧の基準は決まった数値ではないし、
もちろん 1013.25hPa でもない。


ところで、気圧の単位の「hPa」は、
圧力の単位の「Pa(パスカル)」の前に、
桁調整の接頭辞「h(ヘクト)」が付いたものだ。
「k(キロ)」が1000を表すように「h」は100を表す
hα(ヘクタール=ヘクト・アール)のhと同じ。

接頭辞の例として、身近な長さを見てみよう。
長さの基本単位は「m(メートル)」だが、
1000mを1km、
1/100mを1cm、
1/1000mを1mmと表すように、
接頭辞で桁を調整する。

同様に、圧力の基本単位は「Pa(パスカル)」だが、
100Paを1hPaと表す。
これにより、
かつてのmb(ミリバール)と同じ数値が使える。


気圧は気象台などの観測所で測定する。
これを現地気圧という。
しかし、天気図に表される気圧は現地気圧ではない。
もし、現地気圧をもとに等圧線を描いたら、
台風などは別として、
ほぼ等高線に沿った等圧線になってしまうだろう。
標高が高い所は、それだけで気圧が低いからだ。

そこで、観測された現地気圧は海面気圧換算される。
この換算を海面更正という。
その場所が海抜0mだったら何hPaになるかという値だ。
これが天気図に書き込まれ、
これをもとに等圧線が描かれ、
高気圧、低気圧、前線等が解析されて
天気図が完成する。
海面更正には、標高だけでなく気温も影響する。

標高の特に高いところでは、
海面更正がうまくいかず、
天気図に見かけ上の高気圧が現れたりすることもある。

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2017年12月20日 (水)

地球温暖化考(その3)

私は地球温暖化は進んでいると思っているが、
いや進んでいない、或いは逆に寒冷化している、
と主張している人たちもいる。


寒冷化を主張する人たちの説明を聞いていると、
ここ10年くらいの気温の変化が上昇傾向にないとか、
太陽黒点の数が少なく
過去の寒かった時代に似ている、
というものが多い。

しかし、これらの論法には大きな欠陥がある。
高々ここ10年の状況を見ても、
それがこの先100年の傾向と同じである理由が
どこにもない
ことである。
過去100年の傾向を、
ここ10年の傾向で否定することはできない



地球温暖化を否定する別の論法は、
どこそこでは稀にみる寒波に襲われている
といった個々の現象を羅列するものだ。

どんなに事例を列挙しても、
それが証明にならない
ことは
数理論理学をちょっとでもかじった人にはわかることだ。


そもそも、地球温暖化とは気候変動のことである。
気候とはある程度の“広がりを持った地域”の、
“長期的”な“平均的気象状態”
であって、
平均したもののみが意味を持つ
局地的、あるいは短期的な事例は
気候に対しては意味を持たないのだ。

それに、局地的、短期的寒波は、
地球温暖化で説明できる。
局地的、短期的寒波の多くは、
偏西風の蛇行が原因
だ。
偏西風が大きく蛇行すれば、
低緯度地方の暖気がより沢山高緯度地方に運ばれ、
高緯度地方の寒気がより沢山低緯度地方に運ばれる

この寒気が運ばれた地域が寒波に襲われるわけだ。
そして、この偏西風の蛇行は、
地球温暖化が進めば激しくなる傾向がある。

偏西風の蛇行は、
低緯度と高緯度の温度差が大きくなったときに、
この温度差による不安定を解消しようとして起こる
自然界のメカニズムのひとつだ。
自然界は本当に上手くできている。

地球温暖化が進めば、
地球大気中の熱エネルギーは全体的に増加する。
したがって、輸送すべき熱量も増える。
より多くの熱量を運ぶためには、
偏西風の蛇行が大きくなって、
南北流が増える必要がある
のだ。

このメカニズムから考えると、
地球温暖化が進めば、
地球全体の平均気温が上がるだけではなく、
局地的、短期的熱波や寒波は、
これまで以上に厳しく
なり、
これまで起こらなかった激しい現象が増え、
いわゆる異常気象も増えると推論される。

やはり、地球温暖化は
可能な限り抑える努力をすべきだと思う。

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2017年12月19日 (火)

地球温暖化考(その2)

地球温暖化気候が変わると、
ぱっと思いつくだけでも
洪水の増加
砂漠の増加
海面上昇
低地の水没
生態系の変化
伝染病の増加
ある種の生物の絶滅
農業・漁業・林業等への大きな影響
などが挙げられる。
人類への影響も小さくない。
雪かきしなくて良くなるからいい、
などとは言っていられない。


一方で、
地球は温暖化していないという専門家もいる。
これから寒冷化するという人さえいる。
地球は温暖化しているのかいないのか。

これを議論すること、
いや、議論は大いに結構だが、
短兵急に結論を出すことは、
社会的な意味はあっても
科学的な意味はあまりない気がする。
なぜなら、
これから100年200年経つまで
どちらが正しいのか確認できない
のだから。
気候とはそういうものだ。


地球温暖化が、
世界的に政治利用されている
のは確かだろう。
しかしそのことは、
地球が温暖化していない証拠にはならない。

地球温暖化しているいないにかかわらず、
その可能性があり、
その悪い影響が大きいのなら、
念のため対策することは必要だろう。

社会的には温暖化が進んでいるとしておきたい。

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2017年12月18日 (月)

地球温暖化考(その1)

エルニーニョ現象、ラニーニャ現象だけでなく、
地球温暖化に、
個別の異常気象や特異な気象現象の
原因を求めるケースも多く見受けられる。

これも少し違う。
地球温暖化とは気候の変化であり、
大きな“傾向”の変化である。

雨量が増える傾向にあれば大雨は増えるだろう。
地球温暖化は大雨が“増えること”の原因ではあっても、
個々の大雨の“原因”ではない。



そもそも、地球温暖化や、
エルニーニョ・ラニーニャ現象は、
日々の気象現象に比べて
時間スケールが非常に長く、
股間スケールの短い個々の特異な気象現象の
環境要因、あるいは誘因ではあり得ても、
発生原因ではあり得ない。


例えば、交通量の増加は、
交通事故が起こりやすくなる環境要因だが、
それ自体は個々の事故の原因ではなく、
信号無視やわき見運転などが直接原因である。
或いは、
交通事故の多い交差点やカーブがあるが、
その道路構造は、
事故の起こりやすい環境要因ではあっても、
やはり個々の事故の原因ではない。
これらと同じ理屈だ。


なので、大雨などについて「地球温暖化が原因ですか」
と聞かれて困ることがある。
特に番組内での質問では
無碍に否定するわけにもいかず、
専門家の矜持として肯定もできない。

例えば大雨の原因は、
前線通過だったり、暖湿気流の流入だったり様々だが、
地球温暖化は大雨の回数を増やす環境要因ではあっても
大雨の直接の原因ではないから。


これらは、気象の専門家や、
報道関係者に対する注文。
一般の方々から誤解を受けるような表現は
避けてほしいと思う。

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2017年12月13日 (水)

ラニーニャ現象発生

PCの故障等で、記事アップの間隔が大きく空いてしまった。


さて、気象庁の「エルニーニョ監視速報(No. 303)」で、
ラニーニャ現象が発生しているとみられる。」
と発表された。

ラニーニャ現象が起こると日本の冬は寒くなるといわれているが、
これはいつも必ずということではない
統計的に、そうなることが多いことが知られているだけである。
高い相関関係はあるが、因果関係で説明するのは問題がある。
即ち、「ラニーニャ現象が“原因で”、寒冬・厳冬になる」と考えるのは誤りである。
なぜなら、そうならないこともあるからだ。


大分前の話だが、民放の全国放送の番組で、
とある有名気象予報士が、
エルニーニョ現象やラニーニャ現象 を「異常気象」と言っていた。

「異常気象」という言葉があまりに安易に使われている気がする。
「異常気象」の気象庁での定義は、
(気温や降水量などについて)
ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節等)において
 30 年間に1 回以下の出現率で発生する現象

である。10年に1回程度の希な現象でも“異常気象”ではないのだ。

ちなみに、1981年~2010年の30年間に、
ラニーニャ現象は7回、
エルニーニョ現象も6回起きている。
異常でもなんでもない。
実は、
エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない期間の長さは、
発生している期間の合計より少し長い程度
でしかない。

また、エルニーニョ現象やラニーニャ現象を
「異常気象の原因」とする説明もよく見かける。
これにも問題がある。
個々の異常気象を起こりやすくする
“環境要因”ではあるかも知れないが、
“発生原因”ではない
もし“原因”であるなら、
エルニーニョ現象やラニーニャ現象が起こっているときには
頻繁に「異常気象」が起こるはずで、頻繁に起これば、
もはや「30年に1回以下」の定義に当てはまらなくなり、
「異常気象」ではなくなってしまう。

エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、
ペルー沖の一部海域の海水温が
一定以上高く、あるいは低くなる現象だ。
この地球上のごく一部の状態が、
いろいろな気象現象の“原因”だなんておかしな話だ。
気象現象はそんなに単純ではないし、
それだけ決まるはずがない。

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2017年10月31日 (火)

水蒸気のはなし(番外編)・空が白っぽいのは水蒸気のせいか?

この番外編は少し長い。
読みながら多少考えることも必要。
多少学問的な難しい部分もある。
是非、時間のあるときに読んで欲しい。
特に、気象に携わる人、
ある程度知識のある人に読んでいただいて、
ご意見を頂戴したいと思っている。


<空が白っぽいのは水蒸気のせいか?>

晴れているのに視程(見通し距離)が悪い理由や、
薄雲が出ているわけではないのに
空が白っぽいことの理由を、
水蒸気の多さや湿度が高さで説明しているのをよく見かけるが、
私は、かねてからこれに疑問を感じている。
(湿度は正式名称「相対湿度」だが、本稿では「湿度」と略す。)

最初にわかりやすい例を挙げよう。
雨上がりの空は澄んでいることが多い
ある程度長い時間降った雨の雨上がり直後なら、
結構湿度は高いだろう。
ということは、湿度が高いからといって
視程が悪いとは限らないことになる。

この反例により、論理学的に
「水蒸気が多ければ視程が悪い」
という命題は偽(ぎ)であることが証明された。

しかし、これで、
水蒸気が多いことが視程が悪いことと
無関係であることの証明にはならない。
実際、
視程が悪い時は湿度が高いことが多いことは
私も否定しない。


<なぜ水蒸気量の多さで説明されるのか1>

まず、なぜこのような説明がされるのかを考えてみた。

降水現象がない状況で視程が悪いのは、
霧やもやによることが多い。
これらの現象は、
空中に微小水滴が浮遊していることにより起こる。
そして、通常、湿度が非常に高いときにしか起きない。
だから、霧やもやは湿度が高いことが原因といえる。

しかし、雨上がりの例でもわかるとおり、
どんなに湿度が高くても凝結が起こらない限り、
言い換えれば、
微小水滴が空中に浮いている状態でなければ
霧やもやとはならない。

湿度が高いことは、霧やもやが起こることの
必要条件ではあるが十分条件ではない。


<なぜ水蒸気量の多さで説明されるのか2>

もうひとつの原因に、
水蒸気に対する誤解があるように思う。

それは、上記のように、
水蒸気が多い時に視程が悪くなりやすい
という事実があるため、
水蒸気(気体)自体が視程を悪くするとの誤解
生まれたのではないかということだ。

水蒸気は気体であり、窒素や酸素同様透明で、
視程には直接影響しない。
水蒸気が凝結して、
微小水滴(液体)となって初めて視程を悪くするのだが、
この微小水滴を水蒸気と呼んでしまっている誤りもありそうだ。


<空が青かったり白っぽかったりするのはなぜか>

これを科学的に理解するためには、
光の散乱について知らなければならない。
詳細な説明は省くが、
光がレイリー散乱を起こすことで空は青くなり、
ミー散乱が起きると空は白っぽくなる。
雲や霧や雪が白いのはミー散乱が原因だ。

太陽光(可視光線)のレイリー散乱は、
大気分子など非常に小さな粒子が起こす散乱で、
青い色が強く散乱される。
これが空が青い理由だ。

一方、ミー散乱は、
光の波長と同じ程度の半径を持つ粒子が起こす散乱で、
0.1~1μm(μmは、mmの1/1000)程度のオーダーの
粒子が起こす散乱で、
特に強く散乱される波長がないため、
全ての波長の光(色)が混ざり、白色光となる。

よって、大気中にミー散乱を起こす大きさの粒子が多くなると、
空は白っぽくなる
わけだ。

水蒸気(H2Oの気体)分子の大きさは、
酸素分子や窒素分子と大差なく、
ミー散乱を起こす大きさではないので、
水蒸気自体は空を白っぽくする原因物質ではない
このことがあるので、
『空が白っぽいのは水蒸気が多いから』という説明を
私は疑問に思っている
のだ。


<納得できるひとつの説明>

水蒸気と視程の関係について調べているとき、
なるほど、と思うひとつの説明に出会った。

ミー散乱を起こすのには、少し小さい粒子
(塵や埃や黄砂等、以下、大きさによらずエーロゾルと表記)
が大気中にあると、
水蒸気とくっつくことによって粒子のサイズが大きくなり
ミー散乱を起こすようになるため、
視程が悪く、或いは空が白っぽくなるという説明だ。

なるほど納得
ある説明には事例も載っており、
煙草の煙の粒子は非常に小さく、
初めは紫色(レイリー散乱)だが、
空中を立ち昇る間に水蒸気と一体化して大きくなり、
白い色(ミー散乱)に変わるというものだ。
事実をうまく説明し、説得力がある。
おそらく正しいだろう。


<それでも水蒸気は原因物質ではない>

だが、ちょっと待った。
危うくひっかかるところだった。
これって、
煙草の煙(エーロゾル)があってこその白い煙であって、
煙草の煙がなければ、どんなに水蒸気があっても
そこの空気は白くないではないか。

簡単な思考実験をしよう。
今、4種類の気体を考える。

①エーロゾルも水蒸気も多い気体
②エーロゾルは多いが水蒸気は少ない気体
③エーロゾルは少ないが水蒸気が多い気体
④エーロゾルも水蒸気も少ない気体

これらのうち、
透明度が悪い(白っぽい)気体はどれだろうか。
①は明らかに白っぽいが、
④は透明度が高いだろう。
問題は②と③だ。

③は、水蒸気自体が白っぽさの原因でない限り、
空が白っぽくなる理由がない。
少ないエーロゾルに水蒸気がくっついて多少白っぽくなっても、
エーロゾルの量以上に空を白っぽくする原因物質は増えない。
よって、③は白っぽいとは言いにくい。

②はエーロゾルの大きさによって多少話が変わるが、
ミー散乱を起こす程度の大きさのエーロゾルが多ければ
水蒸気が少なくても(或いは全くなくても)、
エーロゾル自体がミー散乱を起こすため、
視程が悪くなったり、空が白っぽくなったりする。
視程が悪い場合、大気現象としては煙霧に当たる。


<私の結論>

②③を考察すれば、
視程を悪くしたり、空を白くする主たる原因物質は、
水蒸気ではなくエーロゾル
である。

水蒸気は、煙草の例でもわかるとおり、
ミー散乱を起こさないような小さなエーロゾルを、
ミー散乱を起こすような大きさに変化させたり、
もともとミー散乱を起こすようなエーロゾルを更に大きくし、
ミー散乱の度合いを強くる働きは認められるので、
それ自体は原因物質ではないが、
空をより白っぽくしたり、
視程の悪化を助長する環境要因ではある。


私は、空が白っぽい原因を聞かれたら、
必ず「空気中に(黄砂やPM2.5等の)塵や埃が多いから」と
答えることにしている。
だって、主たる原因であるエーロゾル抜きに、
環境要因だけで説明するのはおかしいではないか。
(それと、一般人への説明には滅多に加えないが、
 エーロゾルの拡散を抑える逆転相等、
 安定層の存在等も必要条件ではないかと思っている。
 風の弱さも関係するかも知れない。
 考えれば考えるほど難しい。)

空が白っぽいとき、
微小水滴ができているならそれは薄い雲である。
上記は、
空の白さの原因が明らかに雲ではないときの答え方である。
もちろん、雲や霧、もや等、原因物質が微小水滴の場合は
水蒸気が凝結して・・・」と答えている。


この考察には、賛同にしろ反論にしろ、
ご意見を沢山いただきたい
と思っている。

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2017年10月29日 (日)

水蒸気のはなし(その7)・相対湿度3

相対湿度に関して、ちょっとした計算をしてみよう。

秋田の1月の平年値
即ち、気温0℃、相対湿度73%のとき、
空気中の水蒸気密度は
0℃に対する飽和水蒸気密度が 4.85(g/㎥) であるから、

 4.85×73% ≒ 3.54(g/㎥)

となる。
この空気を20℃まで温めたときの相対湿度は
20℃に対する飽和水蒸気密度が 30.4(g/㎥) であるから、

 3.54/30.4≒12%

となる。
これが、計算上の平均的な、秋田の1月の
20℃の部屋の相対湿度である。
これは流石に乾きすぎである。
だから、冬の室内は加湿が必要なのだ。

ただし、これは単純計算であり、
他からの水蒸気補給がない前提の計算である。
実際には、人体やお湯などから
水蒸気が補給されているから
このとおりにはならないが、
エアコン暖房や電気ヒーター、床暖房などは
それ自体からの水蒸気補給がないため、
部屋の加湿が必要である。

一方、
石油ストーブ、ガスストーブなどは、
灯油やガスを燃やした際に
二酸化炭素だけでなく水蒸気も発生するので、
エアコン暖房ほどの加湿は必要ない。

何れにしろ、
湿度計を見ながら室内の相対湿度を調整したい。
冬場の室内の適正な相対湿度は、
45~60%
だそうである。


ちょっとした計算その2

前述の空気の36℃(体温)に対する相対湿度は
36℃に対する飽和水蒸気密度が 41.7(g/㎥) であるから、

 3.54/41.7 ≒ 8.5%

これがお肌に対する相対湿度となる。
これではお肌がカサカサに乾いてしまうのは当たり前だ。
なので、冬は性別によらず保湿が不可欠である。


これから冬に向かう。
是非とも加湿、保湿への準備や心掛けを。

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