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2017年8月

2017年8月25日 (金)

降水(その3)

積雪量降雪量という用語は、
正式にはそれぞれ「積雪の深さ」「降雪の深さ」という。

積雪量は“(ある時刻に)積もっている雪の深さ(地面からの高さ)”、
降雪量は“一定の期間内に(新たに)積もった雪の深さ”である。
要するに、積雪量は積もった雪の量、降雪量は降った雪の量だ。

ところが、ある期間の降雪量は
期間の初めと終わりの積雪量の差と等しいとは限らない
積雪は、解けたり、締まったりで縮むことがあるからだ。

ある期間の降雪量は、
期間中の1時間毎の積雪量の差を、
マイナスの場合はゼロにして全て加え
て求められる。
数年前からこの方法に変わった。

天気」としての降水はきのう書いた6種類だが、
大気現象」としての降水は多種多彩だ。
着氷性の雨霧雨着氷性の霧雨みぞれ雪あられ
霧雪凍雨氷あられひょう細氷ふぶきがある。

天気大気現象は関連はあるものの別物
同じ表現のものがあって紛らわしく、誤解を生むことがある。

大気現象として、雪あられ氷あられ凍雨
(雷、ひょうを伴わず)降っているときの天気あられ
大気現象としてのひょうは、
直径5mm以上の氷の小粒またはかたまりの降水で、
(雷を伴わず)これが降っているときの天気ひょう
ややややこしい。

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2017年8月24日 (木)

降水(その2)

国内式天気は15種類あるが、
降水関連の天気は、
霧雨みぞれあられひょう、の6種類
なおみぞれは、
雨まじりに降る雪。または、解けかかって降る雪。
のことなので、
日常会話や文芸ではともかく、
気象情報として「みぞれ混じりの雨(雪)」という表現は誤り

国内式天気の15種類のうち、
残りの9種類は、
快晴、晴、薄曇、曇、煙霧、
砂じんあらし、高い地ふぶき、霧、雷。

地ふぶきは、積もった雪が風で吹き上げられる現象で、
目の高さに及ぶ地ふぶきである高い地ふぶき
が同時に起こるのがふぶき
この場合、優先順位の決まりにより、
天気としては「」になる。

気温がプラスなら雨が降り、
マイナスなら雪が降る、
と思っている人はいないだろうか。
実際は、気温だけでなく、
湿度も雨か雪かに大きく影響する。

冬型の気圧配置の場合、気温が
+2℃くらいまでは殆ど雪だし、
+4℃で雪が降ることも珍しくない
+7℃近くで雪だった経験もある。

同じ気温の場合でも、
湿度の低い方が雨より雪になりやすい
雪が解けかけながら降るときに、
空気が乾いている(湿度が低い)方が昇華(気化・蒸発)しやすく、
昇華の際に雪は昇華熱を奪われて冷えるため、
より解けにくくなるからである。

こういった複雑さが、
天気予報を難しくしている。

雪の強さも一応予報用語がある。
1時間当たりの降雪量が
およそ1cm/hに達しない雪弱い雪
およそ3cm/h以上の雪強い雪
である。

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2017年8月23日 (水)

降水(その1)

降水は「降る水」と書くが、
液体の水だけでなく、
雪、あられ、ひょうなどの
固体の水(氷・固形降水)も含む

降水の元は雲である。
雲は小さな水滴の集まりで、
霧や湯気も同じだ。

ちょっと脇道に逸れるが、
日常会話としてはともかく、
科学用語、気象用語として、
湯気を「水蒸気」というのは誤り
湯気は小水滴なので液体だが、
水蒸気は気体の水を表す。
湯気は、光を散乱して雲同様白く見えるが、
水蒸気は、酸素や窒素同様無色透明だ。

閑話休題。
微小水滴の雲粒は、
最初は空中の塵や埃(エーロゾル)がないとできにくい。
エーロゾルの助けを借りてできた雲粒は、
様々な過程を経ながら次第に大きくなって雨粒にまで成長する。
気温の低い上空では氷粒として成長し、
雪として、あるいは途中で溶けて雨として降ってくる。

雨は大きく2種類に分けられる。
層状性の雲(層雲、高層雲、乱層雲など)から降る地雨と、
対流性の雲(積雲、積乱雲)から降るしゅう雨(驟雨)である。

地雨は、
広い範囲にある程度の長い時間、
概ね一様な強さで降り続けるが、
しゅう雨は、
局地的で、
強さの変化が激しい降り方をする。

地雨は、主に温暖前線の前面などで降る。
しゅう雨は、寒冷前線付近台風周辺
帯状の降水帯孤立した局地雨など、
様々な形態で降る。
「にわか雨」もしゅう雨のひとつだ。

降水量とは、降った降水が流れず、
その場に留まった場合の水の深さである。
固形降水の降水量は溶かして液体の水にして計る
(雨量計にはヒーターが内蔵されている。)

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2017年8月20日 (日)

積乱雲(その5)

観天望気による積乱雲の近づく兆しを書いてきたが、
スマホなどで気象庁の情報を利用するのも
確実で、簡単な兆し発見の方法だ。

その一つが、以前書いた気象レーダーである。
発達した積乱雲は強い雨を降らせる
レーダー画面では雨の強さがわかるので、
強い雨が点在していたり、
線状、帯状に分布していたら、そこには積乱雲がある。

積乱雲の発見法として気象レーダー のいいところは、
動画再生やナウキャストを見ることによって動きがわかり
自分の居る所に向かって来るかどうかがわかるところだ。
スマホの圏内ならば、どこにいても見られるのもありがたい。

気象レーダーで積乱雲を発見することができるが、
発生可能性のないときに時間の無駄をしないためにも、
日々の天気予報や概況解説に耳を傾けることが大切だ。
特に大気の状態が不安定という言葉が使われたら要注意である。

気象レーダー以外にも、
気象台発表の、注意報気象情報の利用も兆し発見になる。

積乱雲は雷や雹(ひょう)、竜巻などの気象現象を引き起こすが、
全ての積乱雲がこれらをもたらすわけではない。
積乱雲の危険性の大きさは、
気象台の発表する各種の情報を見ることである程度わかる

災害に結びつく気象現象(積乱雲の発生)が予想される場合、
順を追って各種情報が発表される。

まず、半日~1日程度前に
及び突風に関する○○県気象情報
といった気象情報が発表される。
本文中に「竜巻などの激しい突風 」の表現があるかをチェックしよう。
もし表現がなければ、
雷の恐れはあっても、竜巻の心配はあまりない。

次は「注意報」。
本文の付加事項に「竜巻」の表現があるかをチェックしよう。
これも表現がなければ、
雷の恐れはあっても、竜巻の心配はあまりない。

注意報等は、表題だけでなく、内容の確認が大事だ。

いよいよ「竜巻などの激しい突風が発生しやすい気象状況になった
場合には「竜巻注意情報」が発表される。
このときは、気象庁の「竜巻発生確度ナウキャスト
http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
危険地域や危険度を確認しよう。

積乱雲がもたらす災害を避けるためには、
観天望気と、気象台発表の各種情報を合わせて状況を判断するようにしたい。
(参考)
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/toppuuinfo-rikatsuyou.pdf

竜巻関連情報を時系列でまとめておく
雷及び突風に関する○○県気象情報
     =『竜巻などの激しい突風 』の表現の有無を確認
雷注意報」=『竜巻』の表現の有無を確認
竜巻注意情報」=いよいよ危険が迫っているので、
竜巻発生確度ナウキャスト」で危険地域と危険度を確認

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2017年8月19日 (土)

積乱雲(その4)

竜巻注意情報が発表されたりすると、
報道で「積乱雲の接近の兆しが・・・」
と注意喚起されることがある。

では、積乱雲の接近の兆しにはどんなものがあるだろうか

冷気外出流
による急な気温低下も接近の兆しのひとつ。
積乱雲からの冷気外出流は風の変化も起こす。
四方八方に風が吹き出すため、
気圧配置による一般風とは異なる風向の風が急に吹き
一般に風速も強まる
風の息も荒くなる
このような状況の時は、積乱雲が既に頭の上に来ている。

一天にわかにかき曇り、というのも兆し。
積乱雲は縦に急激に成長し、
対流圏界面(上空約10km)にまで達することもある非常に厚い雲なので、
太陽を隠すと昼間でも急にかなり暗くなる
このような厚い雲は積乱雲と思ってよい。

これらの兆しは、積乱雲が既に頭上にあるか、
かなり頭上に近い場合のもの。

少し離れた例では、
入道雲が上にモクモクと成長しているのが見えたら、
それは間もなく最盛期を迎える可能性がある。
また、遠雷が見えたら、
自分の居る場所でも積乱雲が発生してもおかしくない状況だ。

以上は観天望気による積乱雲接近の兆しを見つける方法だ。

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2017年8月18日 (金)

積乱雲(その3)

次に、竜巻から身を守るための方法

もし、竜巻発生時に建物の中に居たら、
間に合うならシャッター、ドア、窓、カーテンを閉め、窓から離れる
窓からスマホで撮影など論外
できるだけ下の階の、
できれば窓のない部屋で壁から離れる

或いは風呂やトイレなど周囲に柱の多い狭いところへ移動する。
海外での実話で、
家全体が吹き飛ばされたのに、
バスタブに身を隠していて助かった事例がある。

もし、竜巻発生時に屋外に居たら、
頑丈な物の陰で身を小さくするか、
側溝など低いところに入り
腕などで頭を守りながら出来るだけ姿勢を低くする

竜巻の場合、車やプレハブに避難するのはよくなく、最後の手段だ。
竜巻の強さによっては、
車やプレハブごと飛ばされてしまう可能性があるからだ。
このような状況に陥らないよう、
可能な限り積乱雲の下や近くには行かないこと、
回避することに心がけたい。

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2017年8月17日 (木)

積乱雲(その2)

積乱雲は、強い雨、雹(ひょう)、の他、
竜巻ダウンバーストなどの突風を引き起こすことがある。

これらから身を守るためにはどうすべきか

まずは雷から身を守る方法
雷は所を選ばず落ちる。
特に高い物や尖った物には落ちやすいので、
近寄らないこと。
可能なら建物や車の中などに避難しよう。
できれば鉄筋コンクリートの大きい建物がよい。
建物内では、電気器具、天井・壁から1m以上離れる

逃げ込むべき建物がない場合は、
車など金属に囲まれたところは比較的安全だ。
車内では、できるだけ中央に寄り、
天井やドア等から離れること。

建物も車もないときは、
大木など自分より十分高いものにある程度近づき、
大木の頂点から斜め45度以内の範囲に入り
身をかがめよう。
ただし、木に近寄りすぎると、木に落雷したとき危険なので、
45度の範囲内で木から最低2m、できれば6m以上離れたい。
Photo

自分より十分高い物もない場合は、
窪地など少しでも低い場所で、
出来るだけ姿勢を低くする。
金属アクセサリーなどを外す必要はないが、
可能なら地面と絶縁
する。
絶縁は、近くに落ちた雷の影響を避けるためであり、
大木の下でも同様。

雷発生時、自宅などに居たら、
ものにもよるが電化製品のコンセントは抜いておいたほうが良い
落雷しなくても、
誘導雷により異常電流(雷サージ)が流れ
故障や火災が発生する可能性がある。
なお、サージから電化製品を保護する装置もいろいろある。

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2017年8月16日 (水)

積乱雲(その1)

気象庁の雲の観測の分類である10種雲形の中で、
対流性の雲は積雲積乱雲の2つである。

積乱雲は積雲が更に発達した雲で、
縦(上)にグングン成長する。
夏の入道雲は発達初期の状態、
最盛期には対流圏界面に達し
かなとこ雲が横に広がってくる。

発達は非常に早く
孤立した典型的な積乱雲の一生は1時間程度だ。
孤立ではなく、組織化された積乱雲は自己増殖し、
結果、何時間も積乱雲が存在することになる。
実はこのパターンの方が多い。
つまり、積乱雲をひとつ見つければ、
近くに次々と子供の積乱雲が発生する可能性がある

雪の降る寒い時期は別にして、
積乱雲の下の方の輪郭が比較的はっきり見えるところは水滴で、
上の方の比較的ぼやけて見えるところは氷晶でできている。

雲の上部で降り出した雪が下の暖かいところで溶けて雨になるとき、
周りから熱を奪うため空気が冷えて重くなる
雲低下では、雨が蒸発するときに周りから熱を奪うため、
更に空気が冷えて重くなる
この冷気が雲の下に下降流として吹き出し、
地面にぶつかって周りに広がる流れとなる。
これを冷気外出流コールドアウトフロー)と呼ぶ。
この下降流が非常に強まったものがダウンバーストだ。

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2017年8月12日 (土)

風のはなし(その4)

風の話(その3)までは大きな目での話。
局地風になると、
地形の影響などのため多少事情が変わってくる

各地域の特徴的な風の多くには名前がついている。
清川だし肱川あらし六甲おろし広戸風などである。

だし」は船を出すのに適する風、
おろし」は山を吹き降ろす風の意味。

ちなみに清川だしは、
最上川が出羽山地を切り裂いた谷あいを吹き抜ける強風。
山地にぶつかった空気(風)は、
山越えするよりも回り込む方が楽なので、
低い隙間があればそこを通ろうとする。
元の風が弱くても、
狭いところを同じ量の空気が通ろうとするため、
風速が速くなる。

地形にあまり関係のない局地風に突風がある。
竜巻ダウンバーストなどだ。
これらは積乱雲の下に発生する。
運動場などで、砂や塵を巻き上げ、
テントを飛ばしたりする渦巻はじん旋風で、
竜巻とは別物

竜巻は、
積乱雲内の強い上昇流とそれを取り巻く渦が局所的に強まり、
何らかの理由で積乱雲の雲底から垂れ下がり漏斗雲)、
それが地上に達したものである。
この回転性の渦は大変な破壊力を持つ。
じん旋風なども渦だが、どんなに強くても、
積乱雲と無関係なら竜巻とはいわない

ダウンバーストは、
積乱雲内の下降流が何らかの理由で非常に強まり、
地面にたたきつけられ、外側に広がっていく突風

竜巻ダウンバーストひょう)、
いずれも積乱雲起源の激しい現象。
これらは、強風注意報ではなく
雷注意報竜巻注意情報などで注意喚起される。

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2017年8月11日 (金)

風のはなし(その3)

あるテレビ番組で、
風力発電の適地の地図が紹介されたことがあった。
秋田県では秋田能代にマークがあった。

アメダスでは確かに風が強く出やすい地点なのだが、
これには事情がある。
アメダスの風速計の地上高は大半が6.5mだが、
秋田は39.9m能代は19.0mである。
高い分、地面との摩擦が当然に小さい。
立地条件が違うため、
そもそも強い風が観測されやすい地点なのだ。
もし、同じ地上高で観測すれば
おそらく、他の地点とさほど変わらない風速が観測されるだろう

アメダスで風の分析をする場合は、
立地条件の確認も行わないと、
とんでもない結論になる恐れがある

地形の影響で、癖のある風が吹く場所もある。

水が高いところから低いところに流れるように、
空気も気圧の高いところから低いところへ流れようとする。
気圧差が風の動力だ。
ただ、地球の自転の影響コリオリ力が働き、
地面との摩擦の無い上空では、
北半球では流れたい方向(気圧傾度力)に対して直角右向きに、
言い換えれば、
等圧線(等高度線)と平行に、気圧の高い方を右手に見て風が吹く
摩擦のある地表面付近では、直角まで曲がりきれない。

風の動力源は気圧差(気圧の傾き、気圧傾度)なので、
天気図で等圧線の間隔が狭いほど風が強い
冬型の気圧配置のときや台風の中心付近には、
間隔の狭い等圧線が見られる。

地形等を無視した大雑把な風向は、
等圧線に直角に高圧側から低圧側に向かう方向に対し、
60度ほど右に曲がった方向
となる。

NHKラジオの気象通報では風力が通報されるが、
予報現場では風力は殆ど使われない。
このブログを興味持って読んでくださる方なら
気象通報で天気図を描いたことのある人も多いだろう。
よい天気図を描くには、
気圧値より、風向と等圧線との整合をとることが大事
だ。
気象の基本は風である。

風とは空気の流れである。
空気が集まってくる(収束する)ところでは上昇気流が発生し、
雲が発生、発達しやすい
低気圧や高気圧も大きな空気の渦で、
風だけで中心位置を知ることができる。
前線も風向が不連続に分布するところである。
風こそが、天気予報上、最も有用な気象要素なのだ。

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2017年8月10日 (木)

風のはなし(その2)

風速とは、単位時間に大気が移動した距離で、
単位は「m/s(メートル毎秒)」。
「毎秒○m」でもよい。
誤解される恐れのないときは「m」でもよい。
(「風速5m」など。)

観測はm/s単位なのに、
気象機関間のデータ交換(通報)はなぜかノット単位。

ちなみに、1ノット=1海里/時
1海里は緯度1分(1度の1/60)に相当する距離(1852m)。
つまり緯度1度=60海里
なるほど、地球上を大きく移動するときには便利そうだ。
それで航海・航空業界は国際単位系(メートル法)に移行しないのか?。
それとも、移行によって勘違いなどによる危険が生じるのを避けているのか?。
誰か教えて。

単に風速といえば平均風速のことを表し、
観測時刻前10分間の平均の風速である。
瞬間風速は、本当の瞬間ではなく、
過去3秒間の平均の風速をいう。

ところで、空気の流れは、
大きく層流乱流に分けられる。
煙草の煙は初めスーッと直線的に上がり、
その後形が乱れる。
前者が層流で、後者が乱流だ。

風も同様で、
地上付近では殆どの場合乱流である。
この乱れによる瞬間風速の変動を風の息ガスト)という。
大気の状態が不安定な時などは風の息が強く
即ち、瞬間風速の変動が結構激しくなる。

平均風速と、瞬間風速(最大)との比突風率という。
通常1.5~2.0程度だが、3を超えることもある。
統計的な平均は1.6である。

ある期間での
(平均)風速の最大が最大風速
瞬間風速の最大が最大瞬間風速
後者の“最大”を略しても意味は通じるが、
“瞬間”を略すと意味が変わってしまう
“原付自転車”の“原付”を略すと“自転車”になってしまい、
意味が変わってしまうのと同じでやってはいけない。
報道でも散見されるのは残念。


ここからは、気象予報士試験受験者のためのアドバイス

(風の話ではなくなるが、海里とノットに関連して)

天気図上の緯度10度の幅(約1100km=600海里)を基準
デバイダや定規で測った天気図上の距離から、
比例計算で実距離を求めたり、
速度を求めたりする基本的技術がある。
最近は、距離をkmでなく海里で、
速度を時速でなくノットで答えさせる問題も増えてきた。
(平成27年度 第2回 実技1 問3(3)など)
このような問題では、
距離の読み取りをkm単位でなく、
はじめから海里単位で行い
1ノット=1海里/時
の関係を使って、
kmへの換算をすることなく
直接ノット単位の速度を計算した方が
圧倒的に簡単で速い。

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2017年8月 9日 (水)

風のはなし(その1)

風向は、風が吹いてくる方向
例えば、「北の風」や「北風」は北から南に吹く風。
逆にしてしまう人が結構いる。

8方位の風向は、東、南、西、北4方位に加え、
北東、南東、南西、北西
南か北が先にくる
東や西が先にくる東北や西北といった風向表現はない。

16方位の風向は、8方位に加え、
北北東、東北東、東南東、南南東、南南西、西南西、西北西、北北西
後ろの2文字が8方位にもある方位で、
その方位から4方位のどちらに近いかが1文字目。
例えば、南東より南寄りなら「南 南東」となる。

風向で「よりの風」という表現がある。
例えば「西よりの風」といえば、
西を中心に両側45°ずつ
つまり南西~北西の範囲でばらついている風を表す。
○には、4方位の東、西、南、北のいずれかが入り
「南東より」といった表現はしない
天気予報の風向表現にも使わない。

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2017年8月 7日 (月)

風の強さと吹き方

雨の強さ同様、風の強さに関する用語にも決まりがあり、以下のとおりである。

平均風速(m/s) 風の強さ(予報用語)
  人への影響

10m/s以上15m/s未満 やや強い風
  風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない。

15m/s以上20m/s未満 強い風
  風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。
  高所での作業はきわめて危険。

20m/s以上30m/s未満 非常に強い風
  何かにつかまっていないと立っていられない。
  飛来物によって負傷するおそれがある。

30m/s以上 猛烈な風
  屋外での行動は極めて危険。

(注) 平均風速は10分間の平均瞬間風速は3秒間の平均です。
風の吹き方は絶えず強弱の変動があり、
瞬間風速は平均風速の1.5倍程度になることが多いですが、
大気の状態が不安定な場合等は3倍以上になることがあります

詳細は、気象庁のウェブページ
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html
を参考にしてください。

ところで、気象報道(特にラジオ)の中で、
気になっていることがある。
風速と、それに対する風の様子を説明する際に、
瞬間風速を上記の決まりに当てはめている誤りが散見されるのだ。
上記の決まりにおける風速は“平均風速”であって、“瞬間風速”ではない
瞬間風速に関しては、気象庁のウェブページを見ていただけば、
表の右端に書かれているので、
それに対応して説明しなくてはならない。


ここからは全くの余談だが、
以前ラジオの気象情報コーナーに出演していた頃、
風速7,8m/sのときに、MCから
「今日は風が強いですね」
と振られて、困ったことが何度かある。

上記のとおり、
「風が強い」は風速15m以上のときの用語だ。
気象予報士としては「そうですね」と肯定しかねる。
しかし、リスナーの方々の多くも、
そう思っている(風が強いと感じている)はずだし、
MCの顔を潰すこともできないから否定もできない。
仕方なく「確かにちょっと風が出てきていますね」
などと誤魔化すしかなかった。

気象用語と、一般的な日本語表現の間には
この他にもやや乖離しているものがあり、
折り合いをつけるのが難しいことがままある。

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雨の強さと降り方

豪雨や台風の関係で、気象報道の中でも降水量に関する表現が多くなっているが、
降水量を表す用語にも決まりがあり、以下のとおりである。

1時間雨量 (mm)    予報用語    <人の受けるイメージ>
10以上~20未満    やや強い雨   <ザーザーと降る>
20以上~30未満    強い雨      <どしゃ降り>
30以上~50未満    激しい雨     <バケツをひっくり返したように降る>
50以上~80未満    非常に激しい雨 <滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)>
80以上~         猛烈な雨     <息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる>

例えば、気象情報の中で「激しい雨」と表現されれば、それだけで
「1時間当たりの降水量が30~50mm」の雨が降った(または降る予想)であるか、
「降水強度が30~50mm(その強さで1時間降り続ければ、30~50mmの降水量となる強さ)」の雨が降っている
という意味になる。

詳細は、気象庁のウェブページ
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html
を参考にしてください。

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2017年8月 4日 (金)

台風(その3)

台風の発生条件は、
海面水温が高いことの他、
熱帯収束帯であること、
気温分布が一様なこと、
緯度が5度以上であることなどである。
こうした条件の下、
偏東風波動の影響などを受けて熱帯低気圧が発生する。
偏東風波動のメカニズムはなかなか難しいらしい。

気象庁では、
台風(熱帯低気圧)の中心付近の暖気核が上層まで消滅したとき
または、中心付近から前線が解析されたとき
その温度構造の変化をもって
台風(熱帯低気圧)が温帯低気圧に変わったと見做している。
くどいようだが、
台風が温帯低気圧に変わることは、決して弱まったからではない

台風進路予報は、
ひまわり8号の新たな詳細な観測データの活用により精度が向上したとのこと。
(6/15報道発表)
数値予報(台風モデル)に埋め込む台風の初期状態のデータの良し悪しが、
その精度を大きく左右
する。
埋め込む台風の初期状態は観測値ではない。
海で発生発達する台風の中心付近で、常時観測することはできないからだ。
これを補うのが気象衛星からの観測で、
雲の形状やその変化から、
統計的に中心気圧や最大風速を推定
する。
少し専門的になるが、
この推定された台風構造を台風ボーガスと呼び、
台風ボーガスを台風モデルの初期値に埋め込むことをドボラック法と呼ぶ。

台風の話の最後は台風の名前。
台風の名称には、
原則として予め用意された140個の名前が順番に繰り返して使用される。
東アジア等の14か国・地域が10個ずつ持ちよった名称で、
日本の提案分は10個とも星座の名前である。
なぜかマイナーな星座名が多い。

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台風(その2)

台風の大きさは、強風域(風速15m/s以上)の半径で決まる。
強風半径
800km以上のとき“超大型の台風”、
500km以上800km未満のとき“大型の台風”、
500km未満のときは単に“台風”と呼ぶ。

台風の強さは、中心付近の最大風速(最大瞬間風速ではなく最大風速)で決まる。
(最大風速とは、風速(前10分間の平均)の最大のもの。)
最大風速が、
54m/s以上のとき“猛烈な台風”、
44m/s以上54m/s未満のとき“非常に強い台風”、
33m/s以上44m/s未満のとき“強い台風”、
17m/s以上33m/s未満のとき単に“台風”と呼ぶ。

これら、大きさと強さを組み合わせて、「大型で強い台風」のように呼ぶ。

台風の影響は、台風進路の左右で異なることが多い。
一般に、
進行方向右側では風がより強く
左側では雨がより多いといわれる。
また、台風が通り過ぎても安心してはいけない
行き過ぎた後に吹き返しの風が強まることが多いからだ。

台風のエネルギー源は暖かい(約27℃以上の)海である。
暖かい海から熱エネルギー(顕熱)と水蒸気(潜熱と湿り)をもらって発生、発達する。
上陸したり、表層温度の低い海面上にくるとエネルギー源が絶たれ、衰弱に向かう。

台風は風の強い(17.2m/s以上)熱帯低気圧だから、
弱まれば“熱帯低気圧”と呼ばれることになる。
ところが、多くの台風は「“温帯低気圧”に変わった」と報道される。
これは性質や構造が熱帯低気圧から温帯低気圧に変わったからであって、
決して弱まったことを意味しない
現実には、「“温帯低気圧”に変わった」ときには弱まっていることも多いが、
弱まっていない事例もあるし、
温帯低気圧として再発達することも珍しくない
温帯低気圧に変わることは、決して安心情報ではないのだ。

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2017年8月 3日 (木)

台風(その1)

天気図上にも台風が現れ、日本にも影響しようとしている。
そこで、台風情報の見方等について書いていくことにする。

台風進路予報図の、日時が脇に書かれた点線円を予報円という。
台風の大きさではなく
その時刻に、円内のどこかに台風の中心がある可能性が高い
確率は70%)という意味の円である。
裏を返せば、30%は台風の中心が円の外にくることになる。

台風予報は難しく、進路予報の精度はその程度なので、
進路予報を信じすぎてはいけない
どんどん修正されるので、最新の予報を見るようにしなければならない。

台風モデルと呼ばれる数値予報モデルの稼働時刻からみると、
3,9,15,21時の50分頃(9時50分など)には必ずチェックしたい
最新の観測データから、大きな修正がかかるからである。
もちろん、その他の時間帯も、こまめにチェックすべきである。

台風進路予報の発表頻度は、
台風の状況(接近の度合い、災害の起こる恐れ)によって変わり、
6時間毎、または3時間毎に発表される。
台風実況情報も同様に、
3時間毎、または1時間毎に発表される。
いずれも正時50分頃である。

ところで、台風とは、熱帯低気圧のうち、
中心付近の最大風速瞬間風速ではなく平均風速)が17.2m/s以上のものをいう。

強風域とは、平均風速が15m/s以上の風が吹いているか、
地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域
暴風域とは、平均風速が25m/s以上の風が吹いているか、
地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域である。
気象予報士でも、
後段の“地形の影響などがない場合・・・”の部分を忘れている人が多いのは残念。

暴風警戒域とは、
台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入る恐れのある領域
警戒域全体が暴風域になるわけではない
また、予報円内に台風の中心が来るとは限らない(30%)ので、
警戒域外が暴風域になることもある

暴風警戒域の円(またはその接線)と、予報円(またはその接線)の半径の差(幅)が、
その時刻の予想暴風半径
となるので、
実況の暴風域を表す円の半径と比較することによって、
暴風域が広がる傾向か狭まる傾向かが読み取れる

なお、暴風域のない台風 もある。

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2017年8月 2日 (水)

GPV気象予報(その5)

これまでGPV気象予報についていろいろ書いてきた。

簡単に振り返ると、
雨量GPVは格子点付近の平均であって、最大雨量ではない
気温GPVは格子点の設定標高と実際の標高に差があり、補正が必要
雲量GPVは、それだけでは空の様子がわからないし、雨量GPVとの関連付けも怪しい、
GSMにおいては、水平スケールが100km以下の現象は表現できない
などの点について触れた。

このように、GPVは天気予報としてはそのままは使えない

GPVは、気象台の予報官や、気象予報士などの専門家が天気予報をするに当たり、
参考にするための資料のひとつに過ぎない
他にも各種天気図やガイダンス資料、解説資料等、参考資料は沢山ある

GPV気象予報のウェブページを利用して自分で天気を判断している方々には、
こういったことを理解したうえで、そのまま予報として解釈するのではなく
気象台や民間気象会社が製品として発表した天気予報と合わせ見て
なぜそのような予報となったのかを考える参考資料として使って欲しいと思う。

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2017年8月 1日 (火)

GPV気象予報(その4)

雲量GPVについて

雲量とは、空に占める雲の割合のことだ。
雲の濃さ・厚さや、透けて月や星が見えるかなども全く関係なく、
とにかく雲が空の何割を覆うかという割合だ。

ちなみに、雨や霧などの現象がない場合、
快晴」は雲量1以下
」は雲量2以上8以下
薄曇」は雲量9以上で、見かけ上の最多雲量が上層雲(薄雲)の組み合わせの場合、
」は雲量9以上で、見かけ上の最多雲量が上記以外の場合である。
意外かも知れないが、全天の8割もの広くを雲が覆っていても「晴れ」である。
余談となるが、このこともあり、
「曇」を「雲が多い」と言い換える報道はやめてほしいと思っている。

閑話休題。

GPV気象予報のサイトには全雲量しか表示されないようだが、
実は、上・中・下層雲別のGPVも存在する
同じ雲量9でも、上記のように、
中・下層運主体なら“本曇り”
上層雲主体なら“薄曇り”で、
天気の様子はだいぶ異なる。
これが見られないのは残念。

日々の天気予報業務では雲量GPVを天気決定の参考にしているが、
時々、雲量0なのに降水量GPVが0でないことがある
雲がなくて雨が降るはずがない。
雲量GPVと降水量GPVとは、必ずしも関連づけられていないのかも知れない

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GPV気象予報(その3)

気温GPVについて

例えば田沢湖アメダスの標高は230mだが、
GSMで最も近い格子点の設定標高は455mで、
200m以上異なる

平均的に、気温は高度差100mにつき0.6℃ほど違うので、
GPVの気温値は、そのまま気温予報としては使えない

格子点の設定標高の資料を持っていればある程度の補正もできるだろうが、
GPV気象予報のウェブページを見るだけの一般の方は、
そのような資料を持ち合わせないだろう。
従って、GPVの気温は、おおまかな分布を把握するにとどめ
そのまま気温の予報値だと考えない方がいい

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